【物流2024問題】ドライバーの待遇が改善されてきた? 派遣業者のドライバー時給が上昇中

最低賃金の引き上げが全国で話題になっている。その影響か今年春頃と比べると、ドライバー業務の時給が上昇してきた。

報道によれば、最低賃金の引き上げが著しいのは、これまで全国平均と比べて低かった東北や四国などの県。引き上げられた県でインタビューに応じてくれた消費者のなかには、これまでで一番の時給アップに喜ぶ声もある。

しかしながら首都圏や三大都市と比べれば、まだまだ時給は低く、1000円に届かないところもある。政府が掲げる最低時給1500円に到達するのは、果たしていつのことか。

その一方で、派遣業者などが募集するトラックドライバーの求人を見ると、この半年ほどで2割は時給が上昇している印象だ。これは首都圏での情報だが、時給1500円以上の求人が目立ってきた。

半年前は1200円前後の求人で、就業内容も深夜や早朝に配送するような仕事で、掛け持ちできるような内容ではない。正直言って「こんな仕事に応募する人がいるのだろうか?」と思えるような条件だった印象だ。

それから半年足らずでグンと時給が上がったのは、やはり最低賃金の引き上げだけでなく、圧倒的な人手不足が表面化していることが大きい。

配送ドライバーの仕事は、運転免許さえ持っていれば誰でもできる仕事だというイメージを持たれている職業だ。確かに2トンや3トン車の運転は、普通免許を持っていれば初心者でも運転する資格はある。

しかしトラックの運転は、乗用車とは違いいきなり運転して仕事ができるとは限らない。運転席が車体の最前部にあるため、交差点などでの右左折ではハンドルを切り始めるタイミングや、タイヤの軌跡が乗用車とは大きく異なる。

ハイエースなどのワンボックス車に乗った経験があるドライバーであれば、すぐに慣れることができるだろうが、そうでなければ車体の大きさと操作の感覚に慣れるまで1週間くらいかかるドライバーもいるだろう。

最近はAT車を採用しているところも多いが、これはAT限定免許所有者でも対応できるだけでなく、これから免許を取得して勤めようとする初心者にも応募してもらいたいという雇用側の姿勢なのだろう。しかし運転初心者でいきなり配送ドライバーを務めるのはなかなかハードルが高い。

そもそも若年層が配送ドライバーに応募するとは考えにくく、コロナ禍で仕事を失ったり、定年退職して、次の仕事に選ぶような中高年が圧倒的に多いだろう。そんな中高年で、それまでほとんど運転してこなかったペーパードライバーや、これから仕事のために免許を取得するような人が、一人前の配送ドライバーとして使えるようになるには数ヶ月はかかる。

さらに配送先が決まっていたとしても、そのルートを覚えたり仕事の段取り、荷主側との応対など単に運転してトラックを動かす以外の業務の負担などもある。そして深夜や早朝という時間帯の仕事が多い。

このようなことを考慮すると時給1500円を超えてきて、ようやく検討する人が増えてくる仕事と言える。今後、ドライバーという仕事の待遇が改善される兆候と捉えれば、非常にいい傾向ではある。

ページトップに戻る