![](https://www.trucknews.jp/wp-content/uploads/2024/11/1177-1024x631.jpg)
以前、遠隔操作の無人建機の機能と有効性について解説したが、ジャパンモビリティショービズウィーク2024の会場で最新の通信技術に触れることによって、現状の遠隔操作にはまだまだ課題があることを実感させられた。
遠隔操作とは、その名のとおり遠隔地にいる操縦者が、現地の重機などを運転操作するものだ。人材不足が顕著となり、気候変動の影響で大規模な災害も昔と比べ頻発している現在、普及が待たれる技術である。
遠隔操作は、すべての操作系をバイワイヤー(電気信号化して伝える)として、その信号を無線で伝えれば実現できる。そういう意味ではラジコンと同じで仕組みとしては簡単だが、ラジコンと違うのはそれが映像によって動作を確認しながら操作する、ということだ。
安全に作業するために周囲の視界は十分に確保しなければならない。しかし作業員が操縦席にいる状況と違い、上半身を動かして色々な角度から周辺の安全を確認するのと同じようにカメラ映像でカバーするのは大変だ。何台ものカメラを使って死角が無いようにすることと、操作の信号とで送受信する情報量はかなりのものになる。
そうなると映像や実際の動作には遅延が発生しやすくなる。ラジコンは近接無線で目視しながら操作するので遅延はほとんど起こらないが、遠隔操作での遅延は大いに問題だ。
実際の信号は操作側の信号を変換してネット回線などに乗せて、受け取った現場ではネット回線から無線で重機に送信し、重機側からはカメラ映像などを無線で送り、それがネット回線を通じて操作側のモニターに映し出されることになる。これだけの変換作業があるので、遅延は免れない。
![](https://www.trucknews.jp/wp-content/uploads/2024/11/1178.jpg)
「実際に遠隔操作する作業員の方には、遅延はとても違和感があるんですよ」。フジクラの説明員がそう言って紹介してくれたのが、ミリ波通信モジュールのデモだった。Wifiに使われる2.4GHzや5GHzよりも高い60GHzという周波数を使うことで、Wifiの18倍もの通信帯域を誇るギガビット無線通信は、無人重機の遠隔操作には最適なのだとか。
まず従来のWifiを使った遠隔操作をラジコンの建機でデモしてもらうと、明らかに遅延が発生していて、操作に対する動作を確認する映像が0.5秒くらいは遅れている。これは建機側から映像を送信している方も遅れるからだ。
次にミリ波通信モジュールを利用した遠隔操作を見せてもらうと、まったく遅延を感じさせないほど違和感ない動作を実現していた。これなら遠隔地からの無人重機の遠隔操作も、ほとんど違和感なく操作できている。遅延はゼロではないらしいが、ほとんど感じないのだ。
しかもカメラもハイビジョンレベルの映像クオリティで10台繋いでも、遅延が増えることはないそうだ。通信距離は500mで、最大通信速度は3.5Gbpsと無線通信としては異例の速さを誇る。
このギガビット通信は遠隔操作だけでなく、工場や倉庫などでのスマート化による情報量の多い環境にも対応するらしい。DX(デジタルトランスフォーメーション)する物流にとっても、今後導入が進むことは間違いなさそうだ。
![](https://www.trucknews.jp/wp-content/uploads/2024/11/1189-1024x683.jpg)