EVトラックの充電可能なスポットが全国に拡大中

自動車のEV化が急速に進みつつあるなかで、商用車はクリアしなければならない問題が多く、乗用車に比べると進捗がよくない状況にあるといわれている。そのようななかでも、ラストワンマイルに活躍する小型トラックではいすゞエルフEV・や日野デュトロZ EV、三菱ふそうeキャンターが登場し、街中でもけっこう見かけるようになってきた。

EV普及のカギの1つといわれているのは、化石燃料の給油スタンド(SS)にあたるEV充電スポットの増設だ。SSは1994年のピーク時に6万カ所を超えていたが、その後は減少に転じて2022年には2万8000カ所を切ったとされる。これに対してEV充電スポットは、一部初期の機器を撤去するなどして減少した年があったものの、現在では約2万1500か所に増加しているのだ。ただ、一カ所あたりのポンプ数・給電口数や給油時間・給電時間に差があるため、単純に設置総数だけで比較するのは難しい。

問題はこれらEV充電スポットの多くが、商用車の使用を前提にしていないことだ。SSは1カ所当たりの敷地面積が広いこともあり、大型のトラックやバスには制限があるところもあるものの、小型トラックはほとんどの場所で利用可能である。ところが、EV充電スポットは1給電口あたりに乗用車1台分程度のスペースしかないところが多く、小型トラックでも利用できないことがほとんどなのだ。

そこで、2023年からEV充電のインフラ開発を行うイーモビリティパワーが、EVトラックの充電サービスができるスポットの展開を開始したのである。同社は2019年に設立され、東京電力・中部電力・トヨタ自動車・日産自動車・本田技研工業・三菱自動車工業・日本政策投資銀行が出資している。資本準備金を含んだ資本金は200億円で、全国で2万2200口(普通充電:1万3100口、急速充電:9100口、2024年3月時点)の給電口を展開している事業者だ。

2023年11月、同社はエルフEV・デュトロZ EV・eキャンターの3車種が、対応可能なEV充電スポットの展開を発表。機器設置のパートナー企業であるケーヨー・コスモ石油・サンドラッグ・三洋堂・資さん・セブンイレブンジャパン・大和ハウス工業・大和リース・DCM・ベイシア・マルエツ・ミニストップ・ローソンの13社と協議し、EV トラックの利用開始に向けた調整を進めることで、順次拡大していくことになった。

ただ、小型とはいってもEVトラックは相当の大きさがあるから、給電口の駐車スペースが十分であるかということや、給電ケーブルが車両の給電口に届くかなどといったことを確認しなければならない。また、EV給電スポットの敷地の広さや侵入経路などについても、小型トラックの利用に十分な安全性が確保されているかといったことを、検証しておく必要がある。パートナー企業と総括的な提携をしても、拠点ごとに確認しなければならないことは多いのだ。

とはいえ、これで小型トラックの充電場所は格段に増加することが期待できる。これまで、トラックメーカーで展開されてきた充電システムと併用すれば、走行ルート上における「経路充電」のインフラが、さらに拡充されることになるだろう。そうすれば、中小運輸事業者もEVトラックの導入を前向きに考えられるようになるかもしれない。EVトラックの普及促進に、拍車がかかりそうだ。

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