「物流2024年問題」解決の糸口、普通免許で乗れる小型トラックとは?

2019年に労働者に対して時間外労働時間を規制するなどした「働き方改革関連法」が施行されたが、トラックドライバーに関しては2024年まで適用に関する猶予期間が設けられた。その期限が切れたことで、年間の時間外労働時間の上限が960時間になり、実質的にひとりあたりが働ける時間が減少したのである。見方を変えれば、トラックドライバーは年間960時間以上の残業を強いられている人が多かったということだから、本来ならばそれは喜ばしいことのはずであった。

しかし、ECサイトの発展などで物流量が増加してるのに、それを担うトラックドライバーが大幅に不足しているなか、ひとりあたりの労働時間が短くなればそれに拍車をかけることになる。結果的に、物流が滞りかねない事態に陥ろうとしているのだ。これが、いわゆる「物流の2024年問題」である。

この問題は様々な要因が複雑に絡み合っているので、簡単に解決できるものではない。だが、多くの人が所有する「普通運転免許」で運転可能なトラックを増やせば、トラックドライバーのなり手の裾野を広げることができるわけだ。

現行の普通運転免許(2017年3月12日以降に取得したもの)で運転可能なトラックの条件は、車輌総重量3.5トン未満・最大積載量2トン未満・乗車定員数10人以下の車輌で、一般に「1トン車・1.5トン車」と呼ばれるものだ。これらは中・長距離を担う大型・中型トラックとは違い、ラストワンマイルで活躍する小型トラックである。

なかでも、注目を浴びているのがEVトラックだ。中・長距離トラックは、1充電当たりの走行距離が短いなどといった問題が解決していないが、小型トラックなら営業拠点や配送経路上に給電システムを用意すれば、十分実用化の域にある。2022年には「日野デュトロZ EV」が登場し、BEV(Battery Electric Vehicle)特有のイージードライブ仕様であることや、市街地走行に必要な先進安全技術の搭載がなされたことで、普通運転免許のドライバーでも運転がしやすいといわれているのだ。

2024年初頭に発売された「エルフミオEV」も、同様の対応が取られている。特筆すべきは、「PREISM」を装備していることだ。これは、コネクテッド技術を応用したシステム。事務所などといった離れた場所に、車輌の状態をリアルタイムに知らせることができるというものだ。このシステムがあれば、配送中に何らかのトラブルが発生した場合でも、ドライバーに適切なアドバイスを送ることができるので、経験が浅くても安心して業務に専念できるだろう。

さらに、同年夏には同モデルのディーゼルタイプも登場した。この車輌はオートマチック車だから、普通車AT限定免許でも運転可能だということだ。軽量なディーゼルエンジンを採用したことで、最大積載量は1.35トンも確保されている。さらに、燃費も13.6Km/ℓ(JC08モード)で経済性にも優れているのだ。

前述のように、「物流の2024年問題」に端を発したトラックドライバー不足は、簡単に解決するものではない。しかし、こういった車輌の開発によってトラックドライバーの裾野が広がれば、その確保にも一条の光が見えてくる。物流・運輸業界が一丸となって、この難局に立ち向かっていくことが期待されているといえよう。

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