ダンプカーは砕石や土砂、アスファルトなどの土木素材や産業廃棄物を運ぶ貨物車だ。通常、トラックは一般貨物自動車運送業の場合、営業用ナンバー(いわゆる緑ナンバー)を取得して営業することが義務付けられている。
しかしダンプカーのなかには白ナンバー(つまり自家用)を付けている車輌も少なくない。これを不思議に思う人も多いだろう。ダンプカーも運賃をもらって資材などを運んでいるはずなのに、営業ナンバーではないのに違法ではないのだろうか。
結論から言うと、ダンプカーで運ぶ資材は荷受け人が購入したものを運ぶのではなく、ダンプ事業者が荷受け人の注文を受けて購入し、納品するという形式をとっている場合も多い。つまりコンビニや食品メーカーの配送トラックと同じように自社の商品を運んでいるようなものなのだ。
また産業廃棄物運搬車も、産廃業者が廃棄物を引き取ることで自社の荷物となり、運送を請け負うのではなく自社の製品を搬出する目的で走らせているようだ。
また土砂を運ぶ大型ダンプには通常のナンバープレートの他に、荷台のアオリにもナンバーが入っている。これはダンプナンバー、表示番号やゼッケンなどと呼ばれるもので、ナンバープレートの情報とは異なるものだ。
こちらも営業用は緑がベースで、自家用は白がベースになっている。つまり白の自家用であっても、土砂を運ぶ大型ダンプの場合は陸運支局が発行するナンバープレートだけでなく、ダンプナンバーを表示しなければならないのだ。
これは昭和42年に施行された通称ダンプ規制法と呼ぶ『土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法』によるもの。
この第三条に「土砂等の運搬に供するため大型自動車(事業用自動車を除く。)を使用する者は、国土交通大臣に申請して、当該大型自動車について表示番号の指定を受けなければならない」とされているのだ。
これは土砂を運ぶダンプの場合、ナンバープレートが汚れて識別しにくいことから、一目で識別できるように大きくアオリに表示するよう義務付けたのである。施行された当時はダンプカーによる交通事故が多かったことから法規制化されたものだが、それから現在までの間で交通事故件数は大幅に減少している。
また街には至る所に防犯カメラがあり、クルマにはドライブレコーダーが搭載され、スマホでも写真や動画をすぐに撮影できるなど、監視社会へと変わりつつある現代ではダンプナンバーの存在意義が薄らいでいる印象もある。
今後は先進運転支援システムなど、死角をサポートしてくれる機能も充実していく一方なので、ダンプがかかわる交通事故もさらに減少していくことだろう。
しかしアオリに大きくダンプナンバーが描かれているのが日本のダンプのイメージでもあるので、今後これが無くなってしまうと、ちょっと寂しい気もするトラック好きも多いのではないだろうか。