最大で10ブランドあるが、半数はOEM…どこまで進む? トラックメーカーの合従連衡

日本のトラックメーカーといえば、日野自動車/いすゞ自動車/UDトラックス/三菱ふそうトラック・バスの4社がまず頭に浮かんでくるだろう。これに、トヨタ自動車/日産自動車/マツダを入れて、俗に7大トラックメーカーなどといわれる。軽トラックも加えればスバル/スズキも対象になるから、つまるところ国内主要自動車メーカーのほとんどが、トラックを製造しているということになるのだ。

しかし、すべてのメーカーが自社で生産しているのかというと必ずしもそうではない。以前は、本田技研を含めた10社がすべてトラックの自社生産を行なっていたが、現在ではおよそ半数のブランドがOEM(Original Equipment Manufacturer、相手先ブランド名製造)になっている。背景には、深刻なトラック市場の縮小があるといわれているのだ。

トラックが売れなければ、トラックメーカーは立ち行かなくなる。少しでもコストダウンを図り、利益の確保をする必要が出てくるわけだ。そこで、OEMを行なって開発費・製造コストなどを縮小して利益を確保しようとする。似たようなトラックが増えるから競合は厳しくなるものの、各メーカーは独自の販売ルートや顧客を持っているから、最終的には利益が見込めるのだという。

しかし、もはやそれだけでは対応が難しいほど市場は厳しさを増している。もともと、トラックメーカーはわが国のトラック黎明期に、重工業やディーゼル産業から勃興している。その後、さまざまな理由で分社・独立や資本提携・合併を繰り返してきたために、各社は互いに何らかの関係性を持っていることが多い。たとえば、日野自動車といすゞ自動車はIHI(旧石川島播磨重工)を介して同一資本であったこともあるのだ。

近年は、それがさらに複雑化している。日野自動車は、いわずと知れたトヨタ自動車の連結子会社。いすゞ自動車は独立を保っているように見えるが、2006年にトヨタと資本提携を行っている。この提携は2018年に一度解消されたものの、2021年に再締結された。現在、トヨタ自動車は同社の株を5%程度持つ主要の株主だ。

かつての日産ディーゼルという社名からもわかるように、UDトラックスは日産自動車の子会社であった。そこからボルボグループ傘下に入り、現在はいすゞ自動車の完全子会社になっている。三菱ふそうトラックバスも、以前は三菱グループであったがダイムラートラック(資本提携当時はダイムラークライスラー)の傘下にある(三菱グループは現在も一部資本投入している)。

このように、トラックメーカーの資本提携は複雑化しているが、整理すると日野自動車/いすゞ自動車/UDトラックスと三菱ふそうトラックバスの2グループに分けられる。このままでは、4社あったメーカーが2社に統合されかねない状況なのだ。バスの製造についてもいすゞ自動車と日野自動車が出資して、ジェイ・バスが設立されて久しい。高性能な新型バスが多数出荷されているものの、バスマニアの間からは「似たようなバスばかりになった気がする」などといわれている。

市場の縮小も深刻だが、2024年問題や少子化問題などで製造だけではなく整備・販売の分野も、慢性的な人手不足が懸念されている状況だ。トラックメーカーに対するてこ入れは、もはや待ったなしの局面に来ているといえよう。メーカーやブランドの統合・廃止も、やむを得ないところにまで追い込まれているのかもしれない。

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