
街なかでもよく見かける冷凍車と保冷車。なんとなく形はわかっても、その仕組みや違いまでは知っているという人は少ないはず。そこで冷凍車と保冷車の違いや、仕組みについて説明していきましょう。
冷凍車


冷凍車とは、内部に冷却装置を備えた貨物車のことで、温度管理が必要な冷凍食品や冷凍医薬品を店舗や医療機関などに運搬するときに使われます。冷凍車は貨物室、冷却装置、断熱材、制御装置などで構成されており。機械式(直冷式)、蓄冷式、窒素式の3つの冷凍方式があります。
機械式冷凍方式は、エンジンの力を使って荷室の温度を下げるタイプのことです。機械式冷凍方式は、冷凍庫内の温度を精度良く管理でき、比較的広い温度帯に対応できます。
蓄冷式は凍結させた冷凍板の冷気によってコンテナ内を一定の冷凍、冷蔵温度に保つ方式です。夜間などの時間帯に冷凍機を稼働させ、コンテナ内に装備された冷凍板を凍結させます。この蓄冷だとエンジンを長時間停止させた場合でも、一定の保冷効果があります。
窒素式は冷凍庫内に液体窒素を注入し、庫内温度を下げる方式です。液体窒素は低温で沸点が低いため、冷凍庫内に注入すると急速に蒸発し、周囲の温度を下げます。冷凍庫内の温度を一定に保つため、液体窒素を自動的に補充する装置が必要です。ただし液体窒素は高額なためコストが非常にかかります。
さらに 冷凍機本体に専用エンジンを搭載し、車のエンジンを切っても冷凍機を稼働できるサブエンジン型と呼ばれるタイプもあります。
保冷車

次は冷凍車と保冷車の違いです。見た目はあまり変わらない冷蔵車と保冷車。このふたつは保冷機能が付いているかついていないかによって区別されます。保冷車は、荷台が断熱構造となっているため、温度を一時的に保つことができます。しかし、冷凍機能と冷蔵機能はついていないため、温度を下げる事ができません。その構造上、保冷車は冷蔵品よりも温度管理がゆるやかである商品を輸送するために使用されます。例えば、ビールや飲料水などです。
では最後に冷凍車を使う時の注意点を少しだけ紹介しておきます。
冷凍車を使用する場合は、荷物を積み込む前に事前に荷室を冷やしておく必要があります。これを予冷といいます。機械式冷凍機の場合は、通常よりも予冷に時間がかかります。逆に蓄冷式冷凍機の場合は予冷が必要ありません。
冷たい空気を行き渡らせるために荷物を正しく積み込むことも重要です。荷物の積み込み方を間違えると、しっかりと冷やすことができなくなってしまうことがあります。バランスよく荷物を積み込みましょう。
液体窒素式の冷蔵車なら荷室にガスが充満してしまうため適度な換気が必要です。換気を行わないままガスが充満した荷室に入って作業をしていると、酸欠になってしまう可能性があるので注意してください。
