トラックの警告灯、スイッチ、謎のマークあれこれ

トラックの運転席に座ってエンジン始動時に一瞬だけ点灯する警告灯の数々。そしてインパネまわりには謎のスイッチ。乗用車では見られない種類の警告灯やスイッチの意味を解説していきましょう。

キャブチルト警告灯

チルト機構は傾けるための仕組みを言い、トラックのキャビンはチルト機構を使って前方に傾けられます。しかし、キャビンを傾けて戻した後、乗車部分がしっかりとロックされていない場合に点灯します。

燃料フィルター水抜き警告灯

フューエル(燃料)フィルター内に水分が混入した場合に点灯します。噴射ポンプ(エンジンに燃料を送る装置)が故障する恐れがあります。この警告灯はディーゼル車のみ装着され、ガソリン車には装備されていません。

ASR

ASRはタイヤの空転を防ぎ、トラックの安定した走行をサポートするシステムでアンチ・スリップ・レギュレーションの頭文字を取ったものです。雪道や雨の日のような滑りやすい路面で、タイヤが空転しスムーズな発進ができないときや横滑りが起こったときに、タイヤの空転を抑制してくれます。ASRは乗用車にもついている機能で、こちらはTCL(トラクションコントロールシステム)と呼ばれます。またトラックではメーカーによって名称が若干異なります。

例)

日野:アンチ・スリップ・レギュレーション

いすゞ:アンチ・スリップ・レギュレーター

三菱ふそう:アンチスピンレギュレーター

DPF

DPFは「Diesel Particulate Filterの略で、ディーゼル微粒子捕集フィルターのことです。エンジンとマフラーの間に位置し、エンジンから排出された人体や動物に害のある「PM」を集めてくれる機能を持っています。そした溜まったPMを定期的に燃焼(再生)して除去することを「DPF再生」と呼び、ふたつのタイプがあります。

ひとつは自動再生で車輌が走行中、エンジン制御システムが自動的にDPF内のPMを燃焼させる仕組みです。このプロセスは、エンジンの温度が一定以上になると開始され、エンジンの回転数や燃料噴射の調整を通じてPMを効率的に燃焼させます。

それに対して強制再生は自動再生がうまく行われない場合や、DPF内にPMが過剰に溜まってしまった場合に行います。

暖気スイッチ

エンジンに温泉マークが描かれているこのスイッチは暖機運転ボタンです。冬場など外気温が低いときや、早く水温を上げたいときに押します。1.5トン以上のディーゼルエンジンのトラックに付いています。

坂道発進補助装置

重量があるトラックは坂道発進時に失敗してしまうと後退してしまいます。その坂道での後退を防止するのが坂道発進補助装置です。坂道発進補助装置はONとOFFが切り替えられるため、作動しているかどうかの確認用マークであり警告灯ではありません。

この他にも「エンジン警告灯:エンジンシステム異常」「油圧警告灯:エンジンオイルの圧力異常」「オーバーヒート警告灯:エンジンの異常加熱時時」「充電警告灯:充電系統異常」「ABS 警告灯:ABS装置の異常」「ブレーキ警告灯:ブレーキ系統の異常」「エアバッグ警告灯:エアバッグシステム異常」など、クルマの状態を知らせる警告灯は数多くあります。

ISOで定められている警告灯の色は緑色・黄色(オレンジ色)・赤色の3種類で、色によって緊急度が異なり、基本的な対処方法も以下のように異なることも重要なポイントです。

緑色:「正常」な状態

黄色(オレンジ色):「注意」すべき状態。早めに点検を受けた方が良い

赤色:「危険」な状態。走行を中断し、ディーラーや整備店に相談した方が良い

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