義務化で普及したアルコールチェッカーのお話

2022年4月の道路交通法改正により、それまで義務化されていなかった白ナンバーの社用車や営業車を一定台数以上使用している企業に対して、運転前後のアルコールチェック実施が義務付けられています。また緑ナンバーのクルマに対しては、旅客自動車運送事業運輸規則および貨物自動車運送事業輸送安全規則により、2011年からすでにアルコールチェックが義務化されています。今回はそんなアルコールチェッカーについて説明しましょう。

アルコールチェッカーには大きくわけてハンディタイプ、据え置きタイプの2種類があります。ハンディタイプは小さくて軽く持ち運びができることや、据え置きタイプより安いとことが特徴です。これは直行直帰や出張が多い事業所やドライバーごとに持たせたい場合などには最適なタイプです。一方で据え置きタイプは、手軽に持ち運ぶことはできませんがハンディタイプよりも高性能でデータ管理ができるものが多くあります。ただし、そのぶん価格も高くなります。

さらにタイプアルコールチェッカーは半導体式と燃料電池式・電気化学式の2種類のセンサーを持つタイプに分けられます。半導体式は半導体表面に吸着している酸素にアルコールガスが反応してセンサー抵抗値が変化する特性を利用しています。ガス濃度が高くなると抵抗値が下がることでガス濃度を測定するのです。半導体式アルコールチェッカーのメリットは安価で購入しやすく、応答が早いのですが、アルコール以外でも匂いが強いものに反応することがあります

燃料電池式・電気化学式のアルコールチェッカーは、検知極でアルコールが酸化されることで生成される水素イオンが移動する際、外部回路に電子が流れる反応を検出します。半導体式とは違いアルコール以外にほぼ反応しない上に経年劣化が少なく、長寿命です。ただし、半導体式アルコールチェッカーよりも高額なことが多く、測定には一定の時間が必要となります。

こうしたアルコールチェッカーですが、使用する時には注意点もあります。例えば飲酒をしていないにもかかわらず反応してしまうケースです、これはキムチや味噌汁などの発酵食品、微量のアルコールが含まれているドリンクやノンアルコールビールを摂取した後には、アルコールチェッカーが反応しやすい傾向にあります。また喫煙や歯磨きの後、ミント系ガムを噛んだ後なども反応してしまうことがあるのですが、これは先ほど説明したようにアルコールチェッカー自体の構造や精度によっては差が出るため、測定前の飲食物に気を付ける必要があります。

またアルコールチェッカーはアルコールセンサーが劣化するため使用期限があります。多くのアルコールチェッカーの使用期限は半年から1年程度、使用回数は数千回~数万回と製品によって差があるものの同じ製品を使い続けることはできないので、買い替えることになります。

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