
昔はよく道に軍手が落ちてたよなぁ。それも使い古した軍手が片方だけ。なぜあんなに軍手が落ちていたのだろう? その理由を深く考えることもしないまま、歳をとった。そして最近、トラックの記事を書くようになって、ふと思い出したのだ。昔はあんなに落ちていた軍手をめっきり見かけなくなった! と。思い出したら気になって仕方がない。そこで、ある日、道に落ちている軍手を探してみたのだ。
まずは、近所の一般道を歩きながら探してみる。しかし、お目当ての軍手は見当たらない。それどころか、他のゴミすら道には落ちていないのだ。
ここでちょっと説明しておこう。なぜ道に落ちている軍手を本サイトで取り上げるのかという理由だ。
現在、それなりの年を重ねた方なら道に軍手が落ちている光景を見たことがあるはずだ。かくいう筆者も、少し大きな道では毎日のように落ちている軍手を見かけたものだ。しかし、いざ探してみると、その光景をなかなか見つけられない。これは残念だ。
ここまで読んで、軍手とトラックにどんな関係があるのかわからない方もいるだろうから、そこから説明しよう。
色々な説はあるものの、路上に落ちている軍手は、トラックの燃料タンクの蓋に被せておいた軍手がズレて落ちたもの、である可能性が高い。現にネットをリサーチすると、そのような記事は散見される。それに加え、筆者もトラックの燃料タンクのキャップ部分に軍手という光景は過去によく見た。
だからこそ、最近めっきりと野良軍手を見かけなくなったことが不思議でならなかった。そこで、場所を変えて軍手を探す。物流センターの近く、埠頭、大きな国道、いずれも軍手の姿は見当たらない。


なぜだ? あれほど落ちていた軍手たちはどこへ? トラックが軍手を落すということ自体がガゼネタだったのか? 少し冷静になって考えてみた。もしかすると、今はトラックに軍手という組み合わせは過去の遺物なのかもしれない。その答えを探してトラックの宝庫、サービスエリアに行ってみた。
日中だったが、数多くのトラックが停車中だ。巨大な車体の間を歩いて燃料タンクのキャップをチェックして歩く。




ない! どのトラックの燃料タンクにも軍手はかぶさっていない! ああ、やはり軍手をトラックが落すというのは過去の出来事なのだ。残念な気持ちを抑えながら、わずかな希望を持って、次のサービスエリアに向かってみた。もし、ここでトラック+軍手の組み合わせを発見できなかったら潔く帰ろう。そう思った時だった。
ありました! 燃料タンクのキャップに軍手!それも2台!


やはり、まだ存在していたのだ! と嬉しくなって、さらに他のトラックを観察するも、燃料タンクのキャップに軍手と言う光景はこの2台のみだった。
しかしながら、落ちている軍手はトラックの落とし物という可能性は0ではないことが証明されたわけだ。
そこで、なぜ燃料タンクのキャップに軍手なのか? という話だが、これには諸説あり、「長距離を走るトラックは給油回数が多くなるため、開け閉め(給油)を頻繁にするのでパッキンがだめになりやすく、燃料が漏れてくるので、それを染み込ませる説」や「燃料がこぼれたときに拭き取る用説」などが挙げられる。
また燃料タンクの蓋が汚れないようにしている、燃料でベトベトになるのを防ぐためや、運送会社などの自社給油所がある場合、自分で入れる時に手や手袋を汚さないうに、あらかじめ使いやすい場所にかぶせてあると言うのも理由だそうだ。
なかでも燃料が溢れたときに軍手に染み込ませて垂れるのを防止するというのが、もっとも大きな理由であるという見方もある。
しかし、基準改正(UN-R34)があり、キャップが従来の「通気式」から「密閉式」になったことで、漏れない燃料キャップ採用のトラックが増え、わざわざキャップに軍手をかぶせる理由がなくなったのも、野良軍手が減った大きな理由だと思われる。
ただし、トラックはその構造上、燃料タンク本体から給油口までの距離が短く、乗用車のようにその距離を稼ぐことができない。そのため満タンに近く入れて入れてしまった場合や、ある程度燃料が入った状態で坂道を走行した場合、燃料が偏りキャップから滲み出てしまうことも考えられる。そのため燃料キャップに軍手はマストアイテムということになのだろう。
もちろん、道に落ちている軍手のすべてがトラックの燃料タンクキャップから落ちているわけではないが、軍手の発見率が減ったのは、きっと基準改正も関係しているのだろうと想像している。
で、結局、今は軍手が道に落ちていないのか?という事の答えを見てこの話題の締めくくりとしよう。
あったぞ、野良軍手。
トラックやダンプが多く通行する、道の傍らに。