緩和標章って知っていますか?

トラックドライバーやトラックファンでなければ、緩和標章が何を意味してるのか知っている人は多くないと思います。そこで今回は、一般には馴染みのない緩和標章についてのお話です。

三角形の上下をひっくり返した形で表示されるマークを「緩和標章」といいます。これは、本来であれば基準値内(保安基準)に収まってなければならない車輌の規格がオーバーしてしまっている車輌に対して、保安基準の緩和を許可された車輌であることを示すマークなのです。そして「保安基準の車輌制限を超える車輌」というルールであるため、大型車輌でしか見かけないマークなのです。

では、この緩和標章を付けるために「保安基準の車輌制限」を説明しましょう。

全長:12.0m、全幅:2.5m、全高:3.8m、軸重:10トン、輪重:5トン、接地圧200kg/cm、旋回半径:12.0m、隣接軸距1.8m未満の時、隣接軸重:18t、隣接軸距1.3m以上、軸重9.5tの時の隣接軸重:19トン、隣接軸距1.8m以上の時、隣接軸重:20。

公道を走行する自動車は、この数値の範囲内である必要があります。この数字が保安基準の車輌制限というわけです。全長12メートル以上という部分だけ見ても、一般の大きさよりもかなり長いことがわかると思います。

しかし、特別な理由がある場合には、この保安基準の緩和が許可され、大型車輌でも公道を走行することが可能となるのです。この時に、基準を超えているが行動の走行を許可するという証が緩和標章ということです。

しかし、緩和標章を付けているのは大型のトレーラーであることが多い上に、トレーラーを牽引するヘッドの後部に貼り付けられているため、よく見ないと見つけることは難しいかもしれません。もっとも発見しやすいのは、後部にトレーラーを牽引していない状況の大型トレーラーヘッドでしょう。

こうした緩和標章ですが、最もよく見かけるのは、やはり大型トレーラーです。海上コンテナを輸送するトレーラーや、ポールトレーラー(鋼管や鉄道の車輌など、長さがありながら分解できないものを運搬する際に使用する)です。

またオールテレーンクレーン(あらゆる路面に適応した移動式クレーン。大きなクレーン能力を持ちながら小回り性に優れており、狭い現場で大きい吊り上げ能力を必要とする作業に使用される)も。走行することができるクレーン車の中でも、かなり大型なため、緩和標章が取り付けらます。

このほかにも接地圧に関して保安基準の緩和が必要になるブルドーザーやロードローラー、コンテナの移動や積み上げを行うストラドルキャリアは、全高が超えてしまうため、保安基準の緩和が必要です。また非常口のない車輌、除雪車、標識車などが公道を走行する際にも緩和標章が必要となります。

このように特別に許可される緩和標章ですが、緩和認定を受けられる条件は以下の通りです。

・長大又は超重量で分割不可能な単体物品を輸送することができる構造を有する自動車。 特定8車種に該当し、バラ積み輸送物品を確実に積載する構造を持つセミトレーラ。

・フル積載国際海上コンテナを輸送することができる構造を有するコンテナセミトレーラで、車輌総重量の基準を超えて積載し、輸送するセミトレーラ。

・その他、構造又は使用の態様が特殊であることにより、基準の適用を除外せざるを得ないと認められる事由があると判断される自動車。

また保安基準緩和認定の有効期間は2年間で、過去の輸送が適切に行われていることを輸送実績より確認のうえ更新されるなど、細かなルールも決められているのです。

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