
物流の要とも言えるトラックドライバー。巨大なトレーラーから、軽バンまでそのジャンルは様々ですが、これから仕事にしたいという未経験者や、一定期間のブランクがある人に受講が義務づけられているのが「初任運転者研修」。これはいったいどんな講習なのか?対象者や内容、罰則などについて説明しましょう。
基本的な説明としてトラック運転者が、事業用トラックに乗務する前に行う研修が「初任運転者研修」であり、運送事業者が行なわなければならない項目のひとつなのです。これは座学や実車を使用した指導を15時間以上、安全運転の実技指導を20時間以上の研修を行なう必要があるため、ただ座って聞いていればいいと言う研修ではないのはご想像のとおり。
まず座学は国土交通省の定める「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行なう指導及び監督の指針」(法定12項目)を使用して、指導が行なわれます。また、実技指導では実際に事業用トラックに乗車させて運転実技指導を行ないます。座学と実技の合計35時間以上実施し、教育の記録は3年間保存する必要があるのです。
この研修が行なわれるタイミングは、基本的にはトラックドライバーとして乗務する前です。では、この初任運転者研修を受けるのはどんな人なのでしょうか。その名前に「初」とつくことからトラック未経験の人だけが受けなければならないと思われがちですが、実はそうではありません。
国土交通省では初任者運転講習を受けるのは以下のように定めています。
「安全規則第3条第1項に基づき運転者として常時選任するために新たに雇い入れた者(当該貨物自動車運送事業者において初めて事業用自動車に乗務する前3年間に他の一般貨物自動車運送事業者等によって運転者として常時選任されたことがある者を除く)」。
出展
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/kamotsu_sidou.pdf)
難しい言い回しで書かれていますが、要約すると
「初めてトラックに乗務する人と、過去3年以内に運送事業者でトラックの運転経験がない人」という事です。この決まりにより、初任運転者対象=はじめてトラックを運転する人ではないことがわかります。
と言うことは、過去3年以内に初任診断を受けていない人は過去ドライバーとしての経験があったとしても、新しく雇い入れた運転手は初任者運転者を受講しなければならないのです。

さて35時間にも及ぶこの研修ですが、その内容も細かく決められており、簡単にその内容をご紹介しましょう。
「事業用自動車を運転する場合の心構え」「トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本事項」「事業用自動車の構造上の特性」「貨物の正しい積載方法」「過積載の危険性」「危険物を運搬する場合に留意すべき事項」「適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況」「危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法」「運転者の運転適性に応じた安全運転」「交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因とこれらへの対処方法」「健康管理の重要性」
このような内容で行なわれる研修ですが各都道府県のトラック協会が実施する研修など、さまざまな場所で受講可能です。また、インターネットを利用したeラーニング形式の講習も利用できるため、スケジュールに合わせて在宅で受講することも可能です。
