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トラックは今でもディーゼルが主流だが、小型のものではEVも商品化され始めている。とはいうものの、台数はそれほど多いわけではない。そのようななか、注目を集めているのがコンバージョンEV小型トラックだ。
本来、EVトラックはトラックメーカーが設計・製造をしている。コンバージョンEV小型トラックは、既存の内燃機関の小型トラックを改造し、EVにするという荒業の技術なのである。
これまでも、自動車にはコンバージョンという考え方が存在した。多くの場合、クラシックカーを現代風に改造するといったものである。よく聞くレストアは、製造当時の状態と同様に修理することが前提なので、コンバージョンとは根本的な違いがあるのだ。EVコンバージョン小型トラックの主なメリットは、
・EVなので環境に優しい
とくにトラックは、ディーゼル内燃機関が多いのでなおさらである。
・軽油代がかからない
高騰を続ける軽油を使用しなくて済むが、充電の電気代は必要だ。
・乗り慣れたトラックの改良が可能
ベースは既存車輌なので、これまで乗っていたトラックと同型のものを改造すれば、運転感覚などに大きな差が出ない。
・マニュアル車より運転しやすい
EVは車輌に対応するモーターを使用すれば、基本的に変速操作が必要ない(走りを楽しむなどのために、敢えてマニュアルEVにした車輌も存在する)。
などといわれている。デメリットは、改造にかかる初期費用だろう。
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このコンバージョンEV小型トラックの製造に、力を入れているのが同事業を推進するヤマト・インダストリーだ。同社は中国市場において自動車関連開発の支援をするIATと、物流事業を営むSRSホールディングスの2社と協業し、コンバージョンEV小型トラックの量産化を目指してきた。
2024年3月には中古の2トントラック(2012年式いすゞエルフ)を改造した試作車が完成し、愛知県幸田町にある「幸田サーキットyrp桐山」で試験走行の実施をした。
さらに、2024年11月には三菱ふそうキャンター1.5トンをEV化し、千葉市の「姉崎教習所」で走行させることに成功している。これらの試験走行により、同社ではキャンターについて量産化のめどが立ったとしており、今後は型式認証を取得し上で公道におけるモニター使用確認を経て、2025年の春を目標に量産供給をスタートさせる予定だという。
この車輌は、従来の車輌のエンジン・ミッション・ドライブシャフトを、EVモーター・専用モーターシャフトに置き換え、燃料タンク・排気マフラーを外して、その空間に走行用電池を配置するという改造を行なっている。
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EV化部品については、コストの安い中国製部品の中から厳選して採用し、EV部品の制御ユニットは日本の国内事情に合わせて新規に開発をした。
これまでもコンバージョンEVについては、軽トラックなどでも検討が重ねられていた。しかし、車種別に開発が必要になるために、トータルコストが大きいなどといった理由で実現に至っていない。
今回のように1車種に絞って開発を行なえば、そういった課題はある程度解決することができる。あとは、コンバージョンEVキャンターの販売が軌道に乗り事業として成立すれば、車種の拡大につながっていくのではないだろうか。
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