トラックの牽引 シャフト抜きとは?

トラックのレッカー牽引時に……と言っても、トラックを牽引する機会はなかなかないでしょう。もちろん普通車であっても、何かトラブルで自走ができないような事態になったときはJAFなどのロードサービスに頼むのが一般的。そこで、今回は知識として知っておけば、どこかで役に立つかも? という話題です。

トラックを牽引する場合「シャフト抜き」という作業を行なうケースがあります。これは、駆動系のトラブル防止と牽引中の安全を確保するためです。特に大型トラックや後輪駆動の車輌では、シャフト(プロペラシャフト)を抜かないと駆動系に負担がかかり、故障の原因となる可能性がるのです。

ここで少しだけ駆動方式について説明するとトラックの場合FR(フロントエンジン・リアドライブ)が多く採用されています(さらにFRも5種類に分類されるのですが、それはまた別の機会に)。

そして、エンジンが前、駆動輪が後部となるFRトラックの場合、駆動系の保護のため牽引時にシャフト抜きと言う作業が行なわれることがあります。これは駆動輪に駆動力を伝えるための駆動シャフトを保護するためです。駆動用のシャフトがある場合、エンジンが停止しているときに牽引されると、タイヤが回転することで駆動系の部品が無理に動かされ、摩耗や過熱のリスクが生じるのを避ける意味があります。

それ以外にもトランスミッションへの負担軽減のためという意味もあります。シャフトと同様にエンジンが停止している状態でタイヤが回転すると、動力が逆流する形でトランスミッションに負担がかかります。その結果、内部のギアやベアリングが過熱・摩耗してしまうので、トランスミッションに駆動力を伝えないようにするためにシャフトを抜くのです。

特にオートマ車では、オイルポンプがエンジン稼働時にしか動かないため、油圧不足による焼き付きが発生しやすくなります。この他、デファレンシャルギアなども牽引時に負担がかかるパーツです。

このように、何もせずトラックを牽引してしまった結果、各部分への負担により破損してしまう可能性を考えると、安全と故障防止の観点からシャフトは抜いて牽引しなくてはならないことがお分かりいただけるでしょう。

万が一、牽引で各部分が損傷してしまうと、駆動系部品やトランスミッションの修理は非常に高額なので、シャフトを抜くメリットは大きいものとなります。

ちなみに、牽引時にシャフト抜きの必要がないケースもあるので、最後に説明しておきましょう。

前輪駆動車の場合は牽引時にシャフトを抜かなくてもOKです。これはエンジンがかかっていないときに、後輪が地面に接した状態でも各パーツに駆動伝達する構造を持たないためシャフト抜きが不要なのです。ちなみに四輪駆動車は特殊な構造を持つため、車輌によってシャフト抜きが不要なケースもありますが、すべての車輌がそうとは限りません。もしシャフト抜きしなくても牽引が可能であっても、特定の牽引方法や適切な設定が必要ですの注意してください。

ページトップに戻る