トラックドライバーの人手不足と高齢化が問題になって久しい。2024年4月の働き方改革関連法の物流業界への本格適用、いわゆる2024年問題が現実となってから、それはより深刻なものとなってきている。ドライバーが少なくなっていることと、ドライバーの日々の労働時間に制限がかかることにより輸送能力が減り、「モノが運べなくなる」ことが懸念されているのだ。
そんなドライバーの人手不足と輸送能力低下を解決する手段のひとつとして現在注目されているのが「ダブル連結トラック」。大型の箱車もしくはウイングのトラックに同じく大型のボディ(トレーラー)をつなげて2両編成にしたいわゆるフルトレーラーのことだ。
2019年から国(国土交通省)主導の実証実験を経て本格導入されたこのダブル連結トラック。’19年以前から実用化されていたフルトレーラーより全長が長く(導入前:21m 導入後:25m)、けん引するトラックと同じ長さ、積載量のトレーラーを繋げられるため、ドライバーひとりで大型トラック2台分の荷物を運べるようになっている。
1台のトラックで2台分の積み荷(荷台)を運ぶため、車輌の燃料はもとより排気ガスも大幅に低減。従来の大型トラックの1,000トンキロあたりのCO2排出量が56.6kgであるのに対して、ダブル連結トラックは、32.0kgと、約4割のCO2削減効果が期待できるともいわれている。
また、長距離における中継輸送や、中継地点でトラックとトレーラーを切り離し、現地の別のトラクタがトレーラーを運ぶ分離輸送などフレキシブルな運用が行なえるため、ドライバーの労働時間短縮にも大きく貢献することができる。この分離輸送または中継輸送を活用し、複数の運輸業者が1台(1編成?)のダブル連結トラックを活用して共同運送を行なうことで、より効率的な輸送も可能となっている。2024年11月には、新潟県内の複数の菓子メーカーと運送会社が、ダブル連結トラックに製品の菓子を混載して関東まで運ぶ試験運用を開始している。
2024年11月27日に開催された「ジャパントラックショーin Fujispeedway2024」では、「日本トレクス」が富士スピードウェイのショートサーキットを使ったダブル連結トラックの試乗会を開催していた。この車輌は本来けん引免許と修了証の取得が必要だが、この試乗会ではクローズドのコースを貸し切りで走行できるため、大型免許を取得していれば誰でもOK。多くのイベント参加者たちがメイン会場から離れたコースまで足を運び、ダブル連結トラックの運転感覚を体感していた。
その参加者には実際にトレーラーで仕事をしているドライバーも多く、「コーナーを曲がるときの内輪差が思っていたよりも少なかった」という声も聞かれた。日本トレクスではこのダブル連結トラックを製造・販売するほか、その運転に必要な修了証を取得できるおらいビングスクールも開設している。
日本トレクス
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