
2024年5月8日~11日にイタリアのミラノで、「Transpotec Logitec2004」というヨーロッパ最大のトラックショーが開催された。これは同地において隔年開催されている展示会で、EU経済圏内で活躍するトラックメーカーすべてが参加するという、トラックマニアにとっては最高のイベントなのだ。展示されている珍しいトラックや最新の情報を求めて、世界各国から多くの来場者がやってくるために、会場はすさまじい熱気につつまれているという。
出展しているメーカーのなかで、日本でも馴染み深い会社と言えばメルセデスベンツだろう。トラックを製造・販売しているのは、ダイムラー・トラックだ。トラックの高級車「アクトロス」や多目的トラック「ウニモグ」は有名だが、消防車・ゴミ収集車・スワップボディ車などにも使用される、特装車用低床トラック「エコニック」も欧州では人気の車種。同社はメルセデスベンツグループの100%子会社であったが、現在はフランクフルト証券取引所に上場しており、持ち株比率は35%程度に下がっているという。

ボルボのトラックは日本でも多く走っているから、道ですれ違ったことのあるトラックドライバーも多いだろう。製造・販売は、ボルボグループ傘下のボルボトラックスが行なっている。日本のUDトラックスは一時期同社の傘下にあり、いすゞ自動車子会社となった現在でも関係性が深い。多数ある車種のなかでも特に人気が高いのは、シャープなデザインを持つトラクタ。同社は電動化・自動化・LNG(液化天然ガス)燃料にも積極的で、いすゞ自動車とは戦略的提携を結んでいる。

ルノートラックスはルノーの商用車部門であったが、現在はボルボグループ傘下に属している。フランスが車輌の電動化に熱心なこともあり、本展示会ではバッテリーEVタイプの大型トラックを出展した。大型トラックのほか、配送用中型トラックや建設工事向けトラックなどを製造・販売している。

スウェーデンを本拠とするスカニアは、日本にも拠点を置いて販売展開しているので、知る人の多いメーカーだ。かつては日野自動車と提携をしており、「日野スカニア」として流通していた。安全性・快適性・メンテナンス性に秀でており、輸入車のなかでも比較的高い人気を持つ。現在では直営・提携を含めて約30カ所のサービス拠点があり、今後はさらに日本国内でシェアアップする可能性を秘めている。最新エンジンにはDOHCが採用されるなど、燃費や性能の向上に熱心だ。

オランダのダフ(DAF)・ドイツのマン(MAN)・イタリアのイヴェコ(IVECO)は、あまり日本に馴染みのないブランドといえよう。DAFは米パッカー社の傘下で、ヨーロッパではボルボに負けない人気を持つトラックメーカーである。無段変速機(CVT)を発明したメーカーとしても有名だ。MANはスカニア同様にヨーロッパでは中堅のトラックメーカーで、フォルクスワーゲングループに属している。IVECOは「アストラ」が有名だが、日本には消防車などの特装車の導入事例がある。



日本のトラック市場は、事実上国内大手4社でシェアを分け合っている状態だが、ヨーロッパでは様々なメーカーが、特徴のある車輌を展開している。なかなか目にする機会は少ないが、インターネットなどでこういった展示会の情報をチェックすれば、特徴あるユニークなトラックに、出会うことができるのではないだろうか。