東京都内をバッテリー交換式のeキャンターが走り出す

2017の三菱ふそうのeキャンター生産開始を皮切りに、実用化が進んでいるEVトラック。現在普及しているEVトラックは充電スタンドでのおよそ1時間にわたる充電が必要。軽油やガソリンの給油よりはるかに時間がかかるこの課題が、EVトラックの普及が進まない要因のひとつになっている。

このほかバッテリー本体が重い、車輌価格が高いという課題もあるが、この問題を解決するため、バッテリーそのものを充電が済んだものと交換するという方法もEV登場当初から発案され、模索されてきた。このバッテリー交換式のEVトラックが、さらに実現へと進みそうだ。

三菱ふそうのeキャンターをベースにしたバッテリー交換式のEVトラックが東京の街を走り始める、その実現化へ向けたプロジェクトがスタートしたのだ。全自動バッテリー交換ステーションを都内に設置し、eキャンターの配送トラックを運用させるこの社会実験は、東京都から数十億円もの投資を受けた、本格的なプロジェクトになる模様だ。

電気自動車向けのバッテリー交換システムを手掛けるアメリカのAmple社が技術を提供し、都内の各所に複数のバッテリー交換ステーションを設置。先に述べたとおりプロジェクトに使用される車輌は三菱ふそうのeキャンター。東京都と東京都環境公社による「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」の支援対象として採択され、補助を受けている。

三菱ふそうは2023年のジャパンモビリティショーにてバッテリー交換式のeキャンターを、Ample社の交換ステーションとセットで展示。バッテリーを交換するデモンストレーションを行ない、来場者の注目を集めていた。このときいすゞも同様のシステムを開発して、同会場にてデモンストレーションを行なっていた。また三菱ふそうは翌年2024年9月には京都市内でバッテリー交換式のeキャンターをを用いた実証実験を開始。このときもAmpleの交換式バッテリーモジュールと交換ステーションを採用。同市内にてヤマト運輸が集配業務に使用している。

東京都内の実証実験もAmpleのシステムとバッテリーモジュールを使用。バッテリーの交換時間はおよそ5分で、1カ所の交換ステーションで100台以上の車輌に対応できるとのことだ。また、全体的なコストは従来のガソリンやディーゼルよりも10〜20%安くなるという。急速充電ではなく時間をかけてしっかり充電させたバッテリーそのものを考案するので、劣化したバッテリーにより走行可能距離が減ることもない。

京都での社会実験を成功させた三菱ふそうとAmpleは、東京という世界でも有数の大都市にてバッテリー交換式EVシステムを本格的に運用させ、その有効性を実証させる。キャンターというラストワンマイルの配送に適した小型トラックとバッテリー交換式EVシステムは、都市部の配送・流通におけるEV化=カーボンニュートラル化をより現実的にさせていくことになるだろう。

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