
建築現場などには、「バッカン」と呼ばれるボックスがある。これは廃棄物を入れるコンテナのことで、専用のトラックが回収をしていく。このトラックを、「脱着装置付きコンテナ車」と呼んでいる。コンテナは単なる箱ではなく、専用トラックに搭載できるようにフックと車輪がついており、専用トラックにはコンテナを積むためのクレーンなどが装着されているのだ。
「バッカン」と呼ばれているのは廃棄物回収用のコンテナで、主な積載物は廃プラスチック・木・紙・金属・ガラス陶磁器などの混合廃棄物や、木くず・金属くず・石膏ボードなどである。これらに使用されるコンテナは、上部に蓋のないタイプが多い。また、後部の扉からダンプアップ方式で、積載物を排出できるものもある。
このコンテナは何も、廃棄物だけが積載対象物というわけではない。基本的に、普通のトラックに積める荷物であれば積載が可能だ。砂・土砂・水などといったものでも、専用コンテナを使用すれば運搬ができる。コンテナは無蓋ボックスタイプだけではなく、有蓋ボックスタイプ・平ボディタイプ・フラットタイプ・タンクタイプ・防水タイプ・おむすび型ゴミ箱タイプなど、広いバリエーションを有しているから、用途に合わせて選択が可能なのだ。



面白いのは、トレーラーが連結できること。まず、ひとつ目のコンテナを専用トラックに積み込み、そのコンテナを専用トラック後部に逆向きに連結したトレーラーに移動させる。トレーラーを切り離して、専用トラックにふたつ目のコンテナを搭載し、その後部にトレーラーを正位置に連結すれば、一度にふたつのコンテナを運ぶことができるのだ。やや手間はかかるものの、輸送効率が高いことは間違いない。
「脱着装置付きコンテナ車」が最初に登場したのはアメリカで、1930年代後半頃のことだという。それから約1世紀を経て、安全性・操作性は格段に向上した。現在では、コンテナの脱着をサポートするナビゲーションが搭載されている車輌もある。また、車輌の左右後方やフック部分にカメラを装着。そこかから運転席のモニターに送られた映像をオペレーターが見て、安全を確認しながら操作をするシステムも開発されている。


コンテナは積載物として扱われるために、専用トラックの大きさに準拠した運転免許があればよい。ただ、車輌登録は専用トラックのサイズで申請されているから、コンテナがその規定を超える大きさであってはならない。また、車輌総重量にも気を付ける必要がある。専用トラックの重量が車重であり、積載物の重量とコンテナの重量を合わせたものが積載重量になる。コンテナ重量を失念して荷物を積めば、過積載になってしまうことがあるのだ。
2024年問題をきっかけに、トラック輸送の効率化は喫緊の課題として様々な対策が実施されている。そのポイントのひとつが、荷物をいかにスムーズに積み下ろしするかということだ。その具体的な手法として注目されているのが、荷台ごと荷物の積み降ろしを使用という試みである。たとえば、コンテナ・トレーラー・スワップボディなどがそれにあたり、各所で運用されて着実な成果を挙げてきた。この「脱着装置付きコンテナ車」も、有効な手法として期待されているのである。