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キャビンと荷台の間にクレーンを装備しているトラックがある。これをよく「ユニック車」と呼んでいるが、一般名称は「積載型(搭載型)トラッククレーン」、あるいは「キャブバッククレーン」という。
では、なぜ「ユニック車」と呼ばれるようになったのか。その理由は、同車輌を日本で最初に登場(1961年)させた古河ユニックの登録商標であったからだ。すなわち、同社が「積載型トラッククレーン」の市場を、発売当初に席巻したということなのである。
現在、「積載型トラッククレーン」は複数のメーカーが製造・販売しており、それぞれ登録商標を持っている。タダノは「カーゴクレーン」、新明和工業では「CBクレーン」といった具合だ。面白いのは、メーカーごとにブームの色が分かれていることである。古河ユニックは「赤」、タダノが「青」、新明和工業は「黄」。知っている人なら、ブームの色でメーカーの見分けがつくという。
同車輌の基本的な構成はキャビン後方にクレーンと平台を架装するといったものだが、ベースとなるトラックのサイズによってクレーンの性能は違ってくる。また、構造も単純にクレーンを搭載しているタイプと、安定性を保つアウトリガーを装備しているものなど、用途によって複数の種類があるのだ。
主たるメーカーは先述の3社と加藤製作所だが、他のトラック架装メーカーも顧客の注文に応じてクレーンをOEMで調達し、架装して顧客に供給をしている。
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同様に、ショベルカーのことを「ユンボ」と呼ぶことがあるが、これも一般名称ではない。本来は、「油圧ショベル(バックホーを含む)」というのが正しい。「ユンボ」は、もともとフランスの建機メーカーが持つ商標で1948年に登場した。ちなみに、「油圧ショベル」自体は1882年からその原型が、イギリスで導入されたのが始まりだという。
日本では新三菱重工(後、キャタピラー三菱、現・三菱重工、現在はキャタピラー事業をキャタピラージャパンに移譲)がライセンス生産を行って1961年から発売を行っていたが、現在は「ユンボ」の商標を持つ車輌は製造・販売されていない。
「ユンボ」が広く浸透したのは、ユニック同様に車輌性能の高さが評価され、初期市場を席巻したことにあるのは間違いない。ただ、当時オペレーターを募集する際に、字数制限がある新聞広告を使用されていたことから、「油圧ショベル」よりも字数の少ない「ユンボ」が多用され、名称の浸透に拍車をかけたというエピソードがある。
このような、登録商標の固有名詞が一般名称化した例は多数ある。コピー機のゼロックス、ガーゼ付き絆創膏のバンドエイド(年配者ならサビオ)、接着剤のセメダインなどがその代表だ。いずれにも共通するのが、
・ライバルの少ないスタートダッシュの時期に市場を席巻した。
・性能がよい。
- 広告戦略が成功した。
などだといえよう。NHKは企業の商品名を一般名称とはできないため、それぞれ言いかえを行うがそこに違和感を持つ視聴者も少なくない。それだけ、一般名称化した「ユニック」や「ユンボ」などは信頼性が高く、広く国民に浸透しているということなのではないだろうか。
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