トラックのハンドルはひと味違う!

トラックの運転席を見たことがある人なら、トラックのハンドルが乗用車とは違うことに気が付くはず。特に、水平に取り付けられていることと大きさがトラックならではの特徴でもあるんです。そこで、今回はその2点について説明してみようと思います。

まず、トラックのハンドルはなぜ水平に取り付けられているのか?というところですが、これはズバリ「構造的な問題でどうしても水平に近くなる」と言うのが答えです。日本ではほとんど見かけないボンネット型トラックは別ですが、物流で使用される日本のトラックのほとんどが、前輪の上に運転席があるキャブオーバータイプです。そのため、車輪にハンドルの動きを伝えるステアリングシャフトはほとんど垂直に設置されるのです。

もしキャブオーバータイプのトラックハンドルを、乗用車のような位置にしようとすると、ステアリングシャフトを一本の棒ではなく、途中で屈曲させられる自由接手(ユニバーサルジョイント)などを使うことが考えられますが、自在継手はあまり大きく屈曲させることができないため、さすがに乗用車並みの角度に立てるのは難しいと言えます。

なかには自由接手を使い比較的乗用車に近いハンドルの角度を持った軽トラックもあるのですが、乗用車並みの角度にはなっていません。

では次にハンドルの切れ角のお話です。トラックのハンドル切れ角も乗用車と違いがあります。一般的な乗用車のハンドル切れ角はおおよそ30度~35度。しかしトラックなどの車輌は45度以上の切れ角があるのです。これはボディが大きなトラックが切り返しも含めて、できるだけ小回りができるようにするための対策です。

最後にトラックのハンドルが大きな理由です。こちらも結論から言うと、トラックのハンドルが大きい理由は「トラックは一般的な乗用車と比べて、バランスの悪い乗り物」だからです。

トラックは、車体が非常に大きく荷物を多く載せて移動します。そのため荷台は高い位置に重心が置かれており、乗用車に比べるとバランスを崩しやすくなっているのです。そのため小さなハンドルだと、少しハンドルを切っただけでタイヤも大きく動いてしまい、それによって横転したりすることが考えられます。そこで安全のために大きくハンドルを切らないと向きが変わらないようになっているのです。

またパワーステアリング不良の際の対応というのもハンドルが大きな理由のひとつです。トラックのような大型車はタイヤを動かすのにも大きな力が必要になります。そのためパワーステアリング機能が付いていますが、万が一この機能が故障したときの緊急退避を関考えると、できるだけドライバー自身の腕力だけでハンドルが切れるように大きいハンドルが採用されているのです。

このようにトラックのハンドルが大きい理由はいくつかありますが、すべて安全と直結していることがわかると思います。

普通乗用車とは一味違ったトラックのハンドル豆知識でした。

ページトップに戻る