車体後部からの出し入れでもパレットが使える魔法の道具「ジョルダー」とは

「2024年問題」を語るうえで必ず「解決するべき課題」として出てくるのが、トラックドライバーによるに積み降ろし作業である。「これを誰がやるべきか」という議論には簡単に答えを出せないが、多くの場合はトラックドライバーが担っているという現実があるのだ。このことが、トラックドライバーの労働時間に悪影響を与えていることは間違いなく、積み降ろしの効率をいかに上げるかということが、当面の課題になっているといっても過言ではない。

積み降ろしで最も効率が悪いのは、手積み手降ろしである。平ボディやウイング車などサイドに大きな開口部を持つ荷台であれば、荷物をパレットに乗せてフォークリフトを使用すれば、比較的効率的な積み降ろしが可能になる。しかし、箱車に見られるような後部のみにドアを持つ荷台の場合、この方法を用いることが難しい。結果的に手積み手降ろしを強いられることになるのだ。

とくに冷凍車や冷蔵車は保温の観点からほとんどの場合、このタイプの荷台が採用されている。また、荷主の事情による積載効率の面から専用パレットを使用することも多く、その場合は通常の平面パレットの使用が制限されることがある。そうなると、結果的に手積み手降ろしをしなければならなくなるのだ。

このような後部ドアタイプの箱車でも、荷室奥まで簡単にパレットを移動させられれば手積み手降ろしをしなくて済む。そこで登場するのが「ジョルダー」というツールである。これは、荷台床部に「ジョルダーレール」という溝を設置し、そこに車輪(ころ)のついたジョルダーをはめ込む。パレットをジョルダーの上に乗せ、専用のレバーを使って持ち上げるようにすると、ジョルダーがパレットを乗せた状態で、レールに沿って移動することができるのである。

パレットを乗せたジョルダーはレバーを押すことで荷室奥に移動し、引けば手前に動かすことができる。荷物が重いと加速がつくので、レバーを操作してブレーキをかけて移動速度を調整をする必要がある。また、パレットに乗っている荷物が荷崩れを起こすなどして、荷室の壁と接触すれば荷物を破損する恐れがあるので注意しなければならない。あまり大きな力を使わずに重い荷物を運べるのだが、移動するときには細かく神経を使う必要があるのだ。

このように、ジョルダーを使用する作業にはコツが必要で、原理は簡単なのだが荷物や荷室を傷つけずに操作するためには、相当の練度が必要になってくる。最も注意が必要なのは、重たいパレットを降ろすときである。このときジョルダーを強く引かなければならないが、ロックが甘い状態であればレバーが抜けてしまって、作業者が荷室から転落するといった事故につながりかねない。作業時には細心の注意を払うことはもちろんだが、安全を守るための装備・服装を整えることも大切だ。

とはいえ、ジョルダーを導入すれば手積み手降ろしに比べて、作業効率は格段に向上することになる。現状、積み降ろしがトラックドライバーの役割になっている以上、その是非を論ずる以前に彼らの労働環境の改善や作業時間の短縮を図ることは、2024年問題の観点からも大事なことだといえるのではないだろうか。

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