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ビルなどの工事現場では、クレーンやダンプカーなど大きな建設機械が多数活躍している。現場によっては目隠し板が張り巡らされているところもあるが、なかの様子を伺える場所も結構あるから、迫力ある建機の動きに思わず見入った人も多いのではないだろうか。
確かに、こういった現場で見られる建機は大型のものもあるが、これらのほとんどは自走が可能で公道を通行することができる。ところが、建機のなかには3階建てのビルのような巨大な車輌も存在するのだ。その代表格が「重ダンプ」である。一般に、ダンプトラックとは荷台を傾けて、積み荷を降ろすための装置を備えた車輌のことを指しており、「重ダンプ」も基本的には同じ構造を持っている。
ただ、建機としての作業効率を重視して可能な限り大型化すると同時に、公道走行しない(道路法・道路運送車輌法・道路交通法などの適用外)ことを前提としているために、モンスター級の大きさになっているのだ。日本では一般に、車輌総重量20トンを超えるダンプのことを指すが、これは道路法の車輌制限を超えていることに根拠を持つ。
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「重ダンプ」は、建機メーカーであるキャタピラー/コマツ/日立建機などが製造・販売しており、大きいものだと積載重量が100トン以上、中には400トンを超える車輌まである。主に、空港やダムなどといった一般人が立ち入ることのない、大規模な閉鎖された建設現場などで活躍している。ゆえに、なかなかお目にかかることができないが、石川県小松市のJR小松駅前にある「こまつの杜」には、静態保存がされているため、「重ダンプ」の代表格ともいえる930Eに触れることができるのだ。
閉鎖空間という特殊な条件化で運用されるため構内専用のフォークリフト同様に、道路交通法に基づく運転免許は法的に必要とされていない。しかし、3階建てのビルほどもあるトラックを運転するのだから、オペレーターは大型免許の所持を条件とするのが一般的だ。また、他の建設機械と同様にメーカーによるオペレーション講習は必須である。驚くのは、自動運転がすでに実用段階に入っているということである。これも、閉鎖空間であり公道では使用されないことが、実証実験を進める上で他の建機より有利な条件にあったからだと考えられよう。
「重ダンプ」が公道を走れない車輌なのであれば、メーカー工場からどうやって現場に移送するのかという疑問が湧く。もっとも、道路法の制限に触れる車輌であっても、事前に許可を得れば一定の条件下で一部の公道を走行することは可能だ。全長20mを超える新幹線車輌の場合はトレーラーに積載し、誘導車輌を配して夜中に低速で移送するといった手段を用いている。
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しかし、「重ダンプ」は公道にある陸橋やトンネル、電線などの状況を考えれば、走行することがほとんど不可能である。そこで、移送の際には分解して部品ごとに運び、それを現場で組み立てるという方法を用いているのだ。もっとも大きな部品である荷台は半分に切断して運び、現場で溶接をしているのだという。現車を見る機会はほとんどないが、一度は搭乗してみたいと思えるロマンのある車輌である。