「運行管理者」という資格を知っているだろうか? 運送会社には運行管理者の配置が義務付けられるほど重要な仕事ではあるものの、その業務内容について知る機会は多くない。
そこで物流業界における運行管理者の重要性と業務内容を解説していこう。
この資格を簡単に説明すると、トラックやバスなどの事業用自動車が安全に運行できるように管理・監督を行うのが運行管理者の仕事であり、国家資格でもある。
その業務内容は「道路運送法」及び「貨物自動車運送事業法」に基づいて行われるため過労運転とならないようなシフトの作成や、ドライバーが安全運転への理解を深めるために必要な教育や指導、指示出しなど、非常に重要な役割を担うこととなる。
具体的にはドライバーの健康状態の確認、アルコールチェッカーなどを用いてアルコールを摂取していないかの確認、ドライバーの休憩所・睡眠施設の管理、ドライバーの安全意識を高めるための教育や指導、補助者への指導や監督、事業者への助言、悪天候のときの運行経路の変更など、業務内容は非常に幅が広いことがわかるだろう。そのため、ただ資格を持っていればよいというわけではなく、判断力や指導力などのスキルが求められるということだ。
そして、運行管理者の資格を取得するためにはふたつ方法がある。そのひとつめは「実務経験や講習を経験する」というルートである。
これは国で定められた一定の実務経験や講習を受けることで、資格者証を取得することが可能となる。具体的には、運行管理の実務経験が5年以上あること、さらにその実務経験の間に運行管理に関する講習を5回以上受けていることを満たせば、指定された書類の提出によって資格を取得できる。
この方法だと試験を受けなくても運行管理者の資格を取得できるわけだが、運送業界の経験もなく職場も畑違いと言う場合は、実務経験が必須なので現実的ではないと言える。
その一方で運行管理者試験を受けて合格すると言う方法もある。これは国土交通大臣の指定を受けた指定試験機関である「公益財団法人運行管理者試験センター」が試験に合格することで、資格を取得できる。ただし受験資格取得のためには実務経験1年以上などの条件もあるため。詳しくは運行管理試験センターのサイトを確認するのが良いだろう。
このように、受験すること自体に条件がある運行管理者だが、その合格率が33%程度であることを考えると簡単に受かる資格とは言い難い。合格率が低いのは法律の知識や専門用語を理解し、計算問題などもこなす必要があるためだ。
しかし、難関であるがゆえに、事業用自動車を保有する営業所にとって必要不可欠な職種であるため運行管理者としてニーズのある職業と言える。
最後に知識として試験について補足しておくと、2021年以降、運行管理者試験は、CBT試験(パソコン上に表示される問題にマウスで回答していく形)となったためパソコン操作に慣れておく必要はあるだろう。また取得に関する費用だが、受験料は6000円だ。