全国トラックドライバーコンテストで上位入賞した凄腕のトラッカーたち

2024年10月28日に「第56回全国トラックドライバーコンテスト」(同26日・27日に開催)の表彰式が東京都港区のホテルで挙行された。4トン・11トン・トレーラー・女性の各部門からそれぞれ上位5名など、総勢20名を超えるトラックドライバーが、仲間や前日までしのぎを削り合ったライバルに迎えられて登壇した。

この大会は全国を勝ち抜いてきた代表により、学科競技と実科競技の2種目で争われる。学科競技は道路交通法・車輌の構造機能・運転常識について問われ、満点は400点だ。実科競技は、点検と運転技能に分かれる。点検は日常点検で、指定点検項目は前輪タイヤ。日常点検基準における点検動作を審査する。

運転技能については、以下の5項目が審査対象だ。

・運転操作及び法規履行

安全措置・発進・制動・走行・車体感覚・通行区分・進路変更・直進や右左折(巻き込み防止措置を含む)・ハンドル操向・適切なシフトアップ・駐停車など。

・コース走行

高速周回・幹線道路・模擬市街地の各コースを走行(発進・停止を含む)、交差点通過(右左折を含む)、側方通過など。

・課題走行

隘路(前後進)・スラローム(前後進)・S字後退・車庫入れ(車輌側方・後方停止位置と指定停止位置の距離)。

・運転態度

事故防止を規範とした真摯な安全運転姿勢や歩行者保護。

・エコドライブ

省エネ運転に配慮した運転。

これら実科競技の満点は600点。すなわち、選手は合計1000点の獲得を目指すわけだ。

結果、990点をたたき出して見事に内閣総理大臣賞に輝いたのは、4トン部門に出場した宮城県代表の中根誉士氏(39歳)だ。11トン部門の優勝者は983点を獲得した千葉県代表の山野邉繁氏(41歳)、トレーラー部門は975点の東京都代表、星野巧氏(38歳)である。女性部門、トラガールの優勝者は若干20歳で4トン車を操り、954点を出した岡山県代表の左直希乃氏であった。

彼らに共通しているのは表彰台に立つこと、すなわちプロのトラックドライバーとして知識・技術の習得することを目標として掲げ、計画的に練習や学習を続けてきたことだ。中根氏は挑戦4年の経験から、「運転技術だけではなく、学科を習得することが大切」と話す。

確かに「学科は単なる知識にすぎず、トラックを運転する現場で直接的に役に立つのか」という考え方を持つ人もいる。しかし、学科とは基本であり原理・原則であるから、これを理解していなければ応用が利かない。トラックの運転はルーティンワークではなく、変化に対してとっさの判断を求められるものだ。そういった意味でも、学科の各項目を理解することが大切なことといえよう。

上位入賞者に限ったことではないが、本大会に出場することは各事業者の社内共通目標として、社員のモティベーション向上につながっているようだ。とくに、安全意識が向上したというところは多いという。

トラックドライバーは仕事に出ると孤独な場面が多いだけに、統一した目標によって仲間意識を深められるのではないだろうか。 山野邉氏や星野氏は、「大会で学んだことを職場でも生かして、仲間の手本となるように努力していきたい」と述べていた。

また左直氏は「大会の課題に挑むことで、運転時の意識が変わった」と話している。今後もより多くのトラックドライバーが本大会に挑戦することで、業界全体の活性化につながることが期待されている。

ページトップに戻る