トラック荷台に荷物を積載する方法は、一般的に「手積み」(バラ積み)と「パレット積み」のふたつが主流になっている。前者は様々な大きさ・形の荷物を、うまく組み合わせながら積み込む方法であり、後者は荷物をパレットに積んでそれをトラックの荷台に乗せるというものだ。
「手積み」は作業者がひとつひとつの荷物を手で積み込むため、荷物の積み方を最適化しやすいので効率的な積載ができる。これに対して「パレット積み」は、パレットに合わせて荷物を積まなければならないだけでなく、パレット間に多少の隙間が出るために積載効率が悪くなる。ゆえに、荷主は「手積み」を求める傾向が強い。
トラックへの積み込みは、慣習上トラックドライバーの仕事とされることがほとんどである。しかも、プラットホームなどに用意された荷物を荷台に積む、あるいは荷台からそこに降ろすなどといったレベルではなく、倉庫内にまで運ぶように要求されることも少なくない。その観点から考えると、「手積み」は好ましいこととはいえないだろう。なぜならば、「2024年問題」をより深刻化させる懸念があるからだ。
「2024年問題」は物流・トラック輸送の業界にとって、深刻な問題とされている。「働き方改革関連法」が2019年に施行され、その適用が猶予されていたトラックドライバーも、2024年4月からは年間の時間外労働時間が960時間に制限されるようになる。長時間労働が制限されるのはよいことだが、その分人を増やさなければ荷物を捌ききれない。荷役作業も労働時間の内なのだから少々効率が悪くても、「パレット積み」を採用した方が問題解決に役立つはずだ。
こういった現場の状況を受けて、厚生労働省の富山県労働局と同県内の運送事業者・荷主事業者が、2023年11月に意見交換を実施した。このなかで、運送事業者は積み込み・積み降ろし時間が節約可能な「パレット積み」を要望している。また、パレットの購入・管理を荷主側が行うことも提案した。これが採用されれば、トラックドライバーが荷降ろし先でパレットの回収・返却をする必要がなくなる。結果、付帯作業を大幅に削減できることになり、労働時間の短縮につながるわけだ。
また、運送事業者側からは高速道路の利用料金についても要望が出されている。本来、高速道路料金は国土交通省に陳情するべき内容だが、トラックドライバーの労働環境改善の観点から、この場で意見が出されたようである。現在、高速道路の深夜割引は午前0時~午前4時の間に利用することが条件となっているが、これではトラックドライバーの深夜走行が常態化している現状を改善するのは難しい。
また、その時間帯に車輌が集中することで、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)が飽和状態になり、危険な違法駐車が多いことも問題視されている。深夜割引が現行の4時間から24時間に拡大できれば、トラックの高速道路利用時間帯は分散されるので、問題解決につながる可能性があるのだ。こういった意見交換会が各所で開かれることで、現場の声が国の施策に生かされることが期待されている。