ホイールナットの緩みを防ぐ魔法のリング

トラックのタイヤの脱落事故が問題となっている。令和5年(2013年)度には142件の事故が発生しており、同年12月には青森県八戸市で大型車から脱落したタイヤ・ホイールが道路保全作業員に衝突し、死亡するという悲惨な事故が発生している。この脱輪事故は冬期の11月〜3月に集中し、特に冬用タイヤ交換後1ヶ月位内に多く発生している。

その事故の原因はホイールのナットが緩み、外れるということがほとんど。それを防ぐには、専用工具(トルクレンチ)を使い、規定のトルクでしっかりナットを締めることは当然だが、ホール取り付け後の「初期馴染み」によるナットの緩みを防ぐなど、日々の定期的な点検も欠かせない。

そんなホイールナットの緩みをひと目でわかるように可視化し、かつその緩み自体を防ぐ画期的なパーツを、2024年11月27日に富士スピードウェイにて開催された「ジャパントラックショーin Fujispeedway」の会場にて発見した。鳥取県のパーツメーカー「STS hicoA(エスティーエスヒコア)」が開発した「WHEEL-hat GUFO(ホイールハット グーフォ)」がそれだ。

リング形状の本体と矢印型のインジケーターが付いたナットキャップが一体化されたパーツで、インジケーターがナットの緩みをいち早く見せるだけでなく、リング状の本体がバネ効果を発揮して緩んだナットを押し戻す、という機能を備えているのだ。さらにナットの緩みだけでなく、スタッドボルトが折れた場合にも本体がホイール全体をカバーしているので、ボルトの破損してから車輌を停めるまでの安全確保時間が稼げるのだ。

耐久性に優れた樹脂素材を使用しているので5年間は使用OK。ナットの飛散を防止するワイヤーもオプションとして設定されている。ナットサイズ33、PCD、10穴のトラック・バス用タイヤに対応。なおUD製トラックはナットの外径が少し小さいため非対応。装着する際はナットの交換が必要とのことだ。

WHEEL-Hat GUFOの「GUFO」とは、幸運をもたらす鳥とされるフクロウのイタリア語の呼び名が由来。実際に同商品を装着し、テスト走行をしている鳥取県の建設会社によれば、同社の10トンダンプの6輪に着け、公道や現場の不整地などあらゆる環境でおよそ7600km走ったが、GUFOが外れたり、ナットが緩んだりといったトラブルは起きていないとか。また、道路運送車両法にて義務付けられている運航前点検の手間の軽減にもつながっているとのことだ。

またSTS hicoAでは、GUFOと連動し、ホイールナットの状況をスマートフォンでキャッチできるシステムも開発している。

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