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ラックは通常、キャビンと車体(シャシーの部分)はいすゞや日野のような車輌メーカーが、平ボディやウイングなどの荷台はいすゞ車体や日本フルハーフなどの架装メーカーが、それぞれ分業で製造している。新車のトラックはメーカーの工場を出たら架装メーカーの工場へ行き、そして車輌として完成するわけだ。ちなみにいすゞ車体は文字どおりいすゞ傘下の架装メーカーで、日野やふそうも系列の架装メーカーを持っている。
このような大手の架装メーカーのほかに、トラック専門のボディをフルオーダーで製作する工場が日本全国に数多く存在する。ここで作られるボディはオーナーの仕事内容や趣味嗜好に合わせた完全受注で、「造りボディ」と呼ばれる。デコトラのボディはそういった工場で作られているわけだ。デコトラオーナーはそのボディを、ベースの車輌を新しく買い替えても代々使用していることが多い。衣類・スーツに例えていうなら、架装メーカーの大量生産のボディはいわゆる「吊るし」。造りボディは仕立て屋さんのオーダーメイドになるだろうか。その仕上がりや価格は造りボディのほうがはるかに上になる。
自分の好みのスタイルに製作でき、仕事での使い勝手を考慮した装備も注文できる造りボディは多くのトラックドライバーの憧れであるが、熟練の職人による手作業での製作のため価格も高いうえ、オーダーから完成までの期間もそれなりに長い。また近年ではその製作を請け負ってくれる工場も減少し、職人も高齢化・減少の一途を辿っている。そのため、新車を注文しても車輌の完成まで1〜2年というのも当たり前、という状況にある。
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そんなトラックの新車とボディの供給を安定化させる新たな提案を、11月27日に開催された「ジャパントラックショーin Fujispeedway」で発見した。三重県四日市に拠点を持つ運送会社「三基」と同県のディーラー「三重いすゞ自動車」がコラボで、「半完成ボディ」という平ボディを開発。その完成車輌(いすゞファイブスターギガ)とボディのフレーム部分を展示していたのだ。
半完成ボディは、ボディを1から製作するうえで最も重要かつ技術を要する「基礎フレーム」を組み上げた状態で販売できるように製品化したもの。例えて言うならセミオーダーのキットだ。平ボディの縦根太・横根太・大枠と前壁部分(鳥居)を製品として生産。それをベースにアオリやシートデッキ(ロープ台)などの装備を加え、ボディとして完成させるものだ。
荷台の骨組みであるラダーフレームを完全に組んだ状態で溶融亜鉛メッキ処理を施し、溶接箇所や鋼管パイプの内側までくまなくメッキ化。ボディ全体で高い防錆効果を誇る。また、PCソフトによる強度解析とウエイトを使用した耐荷重試験もしっかり実施されているので、高い耐久性を持つうえ車検も難なくクリア。トラックフレームへの架装はボルトオンでOKというすぐれもののボディだ。それを半完成とすることで、通常の造りボディのおよそ半分の製作期間で車輌を完成させることができる。
造りボディの自由度の高さと、量産型ボディの品質と架装期間の早さ、それぞれの「いいとこ取り」をした半完成ボディ。いすゞギガ専用のボディとしてリリースされているが、同社の中型車フォワードなどほかの車輌への対応など、今後の展開に期待したい。
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