ただの入れ物ではない! トラックの荷台には工夫がいっぱい

トラックは、荷物を載せて運ぶ車輌だ。その大きさ・重さには制限があるから、できるだけたくさんの荷物が積めるように広くてシンプルな荷台・荷室が採用されることが多い。しかし、荷物は積み降ろしが必須だから、それを効率よく行なえるようにすることも大切だ。多くの場合、それらの作業をトラックドライバーが行なうので、その負担を軽くするための工夫や仕掛けが必要になってくる。

たとえば、ダンプカーのように荷台を傾けて荷物を降ろす機能などは、その代表といえよう。土砂を平ボディのトラックから降ろす場合、ショベルでの手作業やショベルカーなどでかき出す必要が生じる。しかし、ダンプ機能で荷台を傾ければ、短時間で労力をかけずに荷降ろしができるわけだ。加えて、積載した土砂の重量を量る機能が付加されているタイプもある。これなら、過積載を防止すると同時に必要量だけ積み込むなどといった、効率的な運搬が可能になる。

ウイングボディも、荷物の積み降ろしを効率的に行なう工夫のひとつといえよう。基本的なバンボディは後部扉から荷物を出し入れするが、パレットに載せている荷物をフォークリフトで積み降ろしするのであれば、荷台の横から行った方がはるかに効率がよい。それを実現したのがウイング機能だ。なかには、ウイング全体を持ち上げられるようにしているタイプもあり、これならフォークリフトで荷台の高さ一杯まで積み降ろしが可能になる。

手荷物であれば少々重くても荷台・荷室に乗せることは人力でも可能だが、重いものならそういうわけにはいかない。そこで、車輌後部などに装備されているのがパワーゲートだ。これは、電動の簡易エレベーターのような装置である。かご車・ドラム缶・ガスボンベなどといった重量物を、荷台から地上に降ろすための機械だ。操作はそれほど難しくはないものの、重量物を扱うから事故には気をつけなければならない。そのため、足をはさむなどといった事故を防ぐために、安全装置を装備しているのだ。

空港などでカーゴコンテナを運搬する車輌では、荷室の床にレールを敷くことで荷物の出し入れに、大きな力を使わなくてもよい工夫をしたものがある。レールはスライドするようになっているため、その上に乗せた荷物を荷室の奥に送り込んだり、奥の荷物を手前に引き寄せたりするときに、滑らせることで簡単に移動できるわけだ。

2024年問題をきっかけに、注目を浴びているのはスワップボディだろう。これは、トレーラーのように荷台が分離する仕掛けを持つトラックである。トレーラーとの違いは、荷台をトレーラーヘッドで牽引するのではなく、トラックシャシーに荷台を脱着できる機能を持ち、コンテナのような運用を可能にしたということだ。すなわち、牽引免許を持たなくても通常のトラック運転免許で、運転できるということである。これなら、物流拠点であわただしくトラックドライバーが荷物の積み降ろしをする必要がなくなり、効率的な運行が可能になってくるわけだ。

このように、トラックドライバーの負担を軽減するためのシステムが次々と開発されている。このような新たな機能を持つボディの登場に、物流業界関係者の期待が集まっているのである。

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