![](https://www.trucknews.jp/wp-content/uploads/2024/12/AdobeStock_433359449-1024x580.jpeg)
日本国中、ほとんどの業種で人材不足が叫ばれている。少子高齢化で就労人口が減少していることが根本原因で、外食産業では配膳ロボットが珍しくなくなってきた。来店時の受付や会計、注文などもセルフ化が急速に増えている。
スーパーマーケットでもセルフレジの割合が急速に高まっている。銀行は窓口を減らしATMだけの拠点を進めている。決済方法にキャッシュレスが増えており、そもそも現金を出し入れする機会も減りつつある。
このように自動化無人化は確実に急速に進んでいるのだが、運輸業界では自動化はまだまだ導入が難しい。トラックでは自動運転は高速道路の巡航時くらいしか使えず、路線バスは運転士不足で減便や廃線、統合などで対応している。
ひと昔前はバス運転士もトラックドライバーも稼げる職業だったのが、トラック業界は参入を容易にしたことでトラック事業者が乱立、しかも大手の下請けとなってしまったことで、価格競争となり収益性が悪化し、ドライバーの待遇も低下していったのだった。
待遇が悪いのであれば、違う職種を選ぶという選択肢が出来るのは当然のことだ。これにより退職者が続出して人手不足で困ることになれば、高待遇で求人し、従業員への待遇も改善していくだろうが、文句を言いつつも働き続ければ、なかなか待遇を改善してもらうことはできない。
海外のようにトラックドライバーが連携してストライキでも起こせば、待遇改善の機会も生まれるかもしれないが、1社だけでストやデモを行っても、他の企業のドライバーが代わりを務めてしまうことで、意味の薄い行為になってしまう。
トラックの場合、付帯業務などの肉体労働や荷待ち時間などの長時間化、低い賃金とったあたりが問題点だが、公共交通機関の場合、さらに利用客からの理不尽な要求、つまりカスタマーハラスメントという問題も大きなストレスだ。
![](https://www.trucknews.jp/wp-content/uploads/2024/12/30616765_m.jpg)
特に高齢者が多いバス利用客では、自分の行動が思うようにならないことにイラついているのか、些細なことにも大声を上げて怒り出すような乗客に遭遇することもある。こうした利用者にも対応しなければならないバス運転士は大変だ。
最近はカスハラも周知されてきて、理不尽な客には毅然とした態度をとって従業員を守るサービス業も増えてきた。路線バスでもカスハラを撃退する事例が報道されるケースが見受けられるようになってきた。
熊本市電は熊本の市内を運行する路面電車だ。その運転士が不足しているため、市電を運営する熊本市は乗務員の給与を引き上げることを決めた。
そもそも熊本市電の乗務員は、1年ごとの契約による非正規職員が大半を占めており、来年4月からは正規職員とする方向で検討していた。ところが、安全管理体制の再構築のために1年程度延期されることになった。
しかしこれにより乗務員のモチベーションが低下しないよう、先に給与は正規職員となった場合と同じ水準まで引き上げることを決めたのだ。従来の乗務員の平均給与は384万円だったが、これを480万円まで大幅に引き上げる。
さらに2026年には正規職員となることで、福利厚生など様々な待遇も改善されそうだ。こうした待遇改善により運転士への応募が増えれば、これが前例となって運転士やドライバーの待遇改善のきっかけになる可能性もある。
![](https://www.trucknews.jp/wp-content/uploads/2024/12/30037244_s.jpg)