高速道路3車線を全塞ぎは必要悪? こうしなきゃ運べないトラッカーの事情とは

高速道路の3車線化が進められている。それは渋滞箇所での交通量を高め、渋滞を緩和させる狙いであることが多い。

そして高速道路の最高速度が乗用車やバスよりも低く設定されている大型トラックなどは、3車線のうち一番左の第一通行帯を走行し、追い越し時には第二通行帯を利用するよう規制されている区間が増えている。

しかしながら、実態として第三通行帯を走行している大型トラックは非常に多く、これが乗用車の追い越しを阻害しているケースを見かけることが珍しくない。厳密に言えば通行帯違反となる、この光景は交通事故の原因になるだけでなく、やがては渋滞を引き起こす原因ともなりうる。

そもそも大型トラックの最高速度が乗用車やバスより低く設定されたのは、スピードリミッターの導入と同様、高速道路での悲惨な交通事故が続出したからだ。過労運転による居眠りなどで渋滞の末尾に追突すると、その被害は甚大になる。

そこでまずは速度を抑制しようと、最高速度の引き下げやスピードリミッターの導入が図られたのだ。さらに運行管理者による労働時間や休憩時間の管理など、過労運転を防ぐ環境も整備されていった。

しかしスピードリミッターは速度を抑制する機能で安全性を高める一方で、トラック同士の追い越しを難しいものとした。走行速度の差が少ない状態での追い越しは非常に時間がかかり、トラックが並走する状態が続いてしまうのだ。

しかも乗用車のように俊敏に車線変更などできない大型トラックは、第一通行帯にゆっくり走るトラックがいれば、第二通行帯を常用する状態になり、それを追い越したいトラックは第三通行帯を走ることになる。

実際に高速道路を走っていると3車線全てを大型トラックが塞いでいる、という状況に出くわすこともよくある。これは大型トラックの比率が増えている現在では、高速道路を走るクルマの半分以上が大型トラックであるような状況も珍しくない。

第一通行帯にトラックがいない状況でも、第二通行帯を巡航するトラックがいれば、そのトラックを追い越すために第三通行帯を走らざるをえないトラックが出てくる。第二通行帯は追い越しの際に走行するのであって、本来は第一通行帯に戻らなくてはならないのだが、抜かしていくトラックは第三通行帯を走ればいい、とばかりに第二通行帯に居座るのだ。

これはトラックドライバー同士、譲り合って2車線内で収まっていれば問題ないのだが、そんな余裕はないとばかりに高速道路を激走しているのである。

さらに第三通行帯を追越車線と認識していない乗用車ドライバー、つねに先を急ぎたいドライバーが居座ることで車間距離を詰めた集団が第三通行帯に密集してしまう現象も起こっている。そのためなぜか第一通行帯だけがガラガラに空いている、なんていう不思議な状態も起こっているのだ。

もし大型トラックで交通事故を起こして、その時第三通行帯を走行していたことが判明すると、当然事故責任が重くなるのだが、そうしたリスクまで考えているドライバーは少ない。

ドライブレコーダーや監視カメラが無数にある高速道路だけに、いずれ第三通行帯を走行している大型トラックは、カメラ映像から検挙される可能性もある。交通違反がデジタル処理されるようになれば、軽微な違反も見逃されなくなってくるからだ。

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