公共交通機関でも運転士不足が深刻化しており、最近では路線バスの減便が相次いでいる。そんななか、輸送力を確保するため、あるバスが再び注目の存在となっている。
それは連節バス。文字どおり節を持った連なっているバスのことで、トレーラーとは違い車内は電車のようにつながっている長いバスだ。
連節バスが日本に初めてお目見えしたのは、1985年に開催されたつくば科学万博(通称つくば博)でのことだった。たくさんの来場者を運ぶには、従来の路線バスでは輸送能力が足りないことから、海外から連節バスを輸入して導入したのだ。
それはボルボ製のバスシャシーを輸入し、富士重工業(現スバル)がボディを製作したもので、乗車定員162人を誇る全長17.99mの超ロングボディであった。
スーパーシャトルバスと名付けられた連節バスは100台が製造、活躍したが、つくば博閉会後にはそのほとんどがオーストラリアに輸出された。一部は羽田空港でシャトルバスとして使われたようだが、それも老朽化によりお役御免となっている。
現在はバス愛好家団体が2台動態保存しているというから、その情熱は素晴らしいが、日本では消えゆくバスと思われていた。
ところが近年になって、再び日本で連節バスが利用されるようになってきたのだ、それも全国規模で。その背景には、トラックの大型化やトレーラーへのシフト同様、1台の車輌でどれだけ輸送できるか、というドライバー不足に対する対応策があった。
海外ではさらにボディを延長した二連節バスも運行されており、全長25m程度もあるため専用道路で運用するBRTとして利用されている。
したがってBRTの導入が検討されている日本においても、鉄道代わりに今後二連節バスが導入される可能性は高いだろう。一方で小型のバスも従来小回りの効いた日野リエッセが販売終了になって10年。
コミュニティバスとして後継車である日野ポンチョも活躍しているが、ホイールベースの長いポンチョは意外と小回りが効かず、従来の狭い道を通るバス路線では使えないためにバス便が廃止になることも出てきたようだ。
一度にたくさんの乗客を運べるという点で、連節バスは大きなメリットを感じるが、デメリットもないわけではない。
難点は乗客が少ない時でも大きな車体で運行しなければならない点で、通常の路線バスでも無駄が生じる部分が連節バスではさらに大きくなってしまう。
電車であれば、減速時には回生発電で電力を回収できるから、乗車率が低い状態でもある程度損失をカバーできるが、単独で走行しているバスの場合ハイブリッドであっても、回生充電は限定的(発電量をバッテリーが全部吸収できるわけではない)だから、効率の向上効果はあまり見込めない。
バス便も人手不足や利用者減で岐路に立たされている状況だ。連接バスの復活でカバーできるのは、大通りを走る主要な路線だけに、今後の代替機関の登場なども気になるところである。