【物流2024問題】Eキャンターの塵芥車が自動運転で追従する! 実証実験はどんな目的があるのか

Eキャンターと言えば、キャンターをベースとしたEVトラックで、現在のモデルで2代目となる、実績としてはトップレベルのEVトラックと言えるクルマだ。

EVトラックを開発しても、なかなか購入してくれる企業は少なく、自動車メーカーも悩みどころだったようだが、そんな中でも三菱ふそうは、ダイムラートラックグループということもあって、トラックのEV化にも力を入れている。

ジャパンモビリティショービズウィーク2024では、そんなEキャンターの塵芥車が展示されていた。ところが実はこの塵芥車、ただのEVではなかったのだ。

展示されているパネルをみると、自動追尾型EVごみ収集車の実証実験車という説明がある。そう、このeキャンターは、作業員が端末を操作することで運転席に座らずに次の集積所まで走行することができるのだ。

運転席から降りた人をカメラで認識し、追従するようになっており、一般の人が近づいた際など安全上問題が起こった時には緊急停止する機能も備わっている。

これにより作業員の乗降回数を大幅に削減することができるため、作業員の労力は大幅に削減できることになるそうだ。自動追尾の走行時には高精度なGPSで自車位置の検知を行ない、カメラと超音波センサーで周囲の障害物などとの接触を回避するように走行する。自動追尾時のスピードは時速7kmに設定され、作業員が早足で移動する速度に合わされているようだ。

従来ならゴミ収集車を運転する作業員と、それを追いかけながらゴミ集積所に集められたゴミ袋をボディ後端の投入口に放り込む作業員の複数人によってゴミ収集は行われてきたが、ゴミ収集車が自動追尾してくれると、最低必要人数は1名で作業できるようになる。

もちろん作業員一人で行うのは重労働でもあるから、実際には2名で行うことも多いだろう。それでもゴミ収集車が自動追尾してくれれば、二人はゴミを放り込むことに集中できるから、はるかに効率は高まるのだ。

しかもeキャンターをベースにしている、ということは早朝や深夜のゴミ収集でも、騒音が問題になることもほぼない。海外では電動車両しかゴミ収集に入れないエリアなど騒音問題で規制が厳しくなっている地域も増えている。

このeキャンターの自動追尾型ゴミ収集車、2023年に神奈川県川崎市で実証実験を行ない、一定の成果を上げることが実証された。

このeCanter SensorCollectは、あくまでコンセプトモデルであり、市販化の予定はないようだが、今後ゴミ収集事業も人手不足が深刻化することは明白である。外国人労働者を雇用するより、こうした自動運転分野の活用こそ、将来的な技術発展や輸出産業への貢献につながる。

三菱ふそうでは、今回の実証実験で得た知見を次世代のゴミ収集車開発に活かすとしている。これが完成すれば、他の産業にも応用できそうだ。

ページトップに戻る