【物流2024問題】オフィス家具大手が不当な運送契約の強要で公取から警告。今後、物流業界は是正による運賃の改善が続くのか

物流2024問題の解決策として、付帯作業の強制や不当な運賃の引き下げなどが問題視されているが先日、オフィス家具大手のイトーキが、不当な運送契約を強制したとして公正取引委員会から警告を受けた。

関係者の話によれば、同社は全国に発送した机や椅子などのオフィス家具の配送だけでなく組み立てや取り付けも運送事業者に委託しており、作業によって残業時間が生じても残業代を支払っていなかったらしい。また梱包材の段ボールも同社に返却させており、その残業代も支払っていなかった。

イトーキ側はこの事実を認め、本来受け取れるはずだった運賃をトラック事業者にすでに支払っている。このケースは大手企業の一方的な要求という「よくあるケース」でも悪質だとして警告を受けたわけだが、大手企業だけに見せしめ的な効果は大きい。

ネット上では「同社と取引があったが、荷待ち時間が異常に長いことから手を引いた」「同業他社はキチンとしているので、そちらの取引に乗り換えた」などさまざまな意見が溢れている。こうして事件化しなくても、SNSなどでは実態が語られてしまうので、ブラックな下請けイジメは今後縮小していかざるを得ないだろう。

荷主からの不当な圧力を禁じる「物流特殊指定」による警告は15年ぶり、とのことだが、物流業界ではこうしたトラック事業者や下請け企業に対する不当な扱いが常態化しているとも言われている。今後はそうした物流業界の悪習慣も是正の手が入ることになるだろう。

ちなみに物流特殊指定とは、取引上の立場が強い荷主による圧力で物流事業者の不利益を防ぐために、2004年4月から運用されているもの。報酬の減額や買い叩き、物品購入を強制するなど9種類の禁止行為がある。違反が認定された場合は警告や排除措置命令が出ることになる。

公正取引委員会は今年6月にも、運送代を一方的に減額したなどとして、住宅設備卸大手に対する立ち入り検査を実施している。

運賃の値上げも応じてくれなければトラックGメンなどが是正に動く方針を示している。適正な報酬を支払うことでトラック事業者も収益性を高めることにつながるのだ。

収益性が高まればトラックドライバーの待遇も良くなり、かつてのように稼げる職種となることでトラックドライバーを目指す若者も増えてくれるということになる。

運転マナーや技術などに問題がありそうな外国人ドライバーを雇うより、若手の育成や自動運転でカバーしていく方が、日本の道路交通の安全性を考えても健全だと言えるだろう。すべての外国人が運転マナーが悪いということはないが、海外の交通状況を見ると日本ほどマナーの良い道路環境は少ない。

見方を変えるとマナーの悪いドライバーは、ドライブレコーダーやスマホによる監視で、簡単に問題視され、状況によってはトラック事業者が荷主から取り引き終了を告げられてしまうケースも出てきている。安易に人手不足から外国人ドライバーを受け入れるとリスクは小さくないのである。

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