【物流2024問題】トラックGメンが倍増? 物流拠点も調査するトラック・物流Gメンの効力はいかに

この11月から色々な業界の制度が変わる。自転車のながら運転、酒気帯び運転に罰則が導入され、危険な自転車乗りが摘発されることで道路交通の安全性が高められる。

フリーランス(個人事業主)に対して企業が業務委託で仕事を依頼した場合、一方的な報酬の減額などを禁ずるフリーランス法も施行され、優越的地位を利用した仕事の強要なども禁止されることになった。

トラックや物流の業界では、トラックGメンの強化が代表的だろう。これまで国土交通省が167人のGメンを配備して、長時間の荷待ちや運賃の不当な値引き、無理な運送依頼など、トラック事業者が違反行為を起こす原因となる、荷主や元請けの違反原因行為がないか調査してきた。

それがこの11月からは全国のトラック協会からも応援がきて、総勢360人以上で情報収集をすることで、荷主や元請けからの一方的で悪質な取引がないか監視を強化するのだ。

昨年7月の発足以来、トラックGメンはこれまでに1000件以上の違反原因行為を見つけ是正を働きかけ、特に悪質な2件に関しては是正勧告を行い社名の公表も行なってきた。そのGメンが倍以上に増えるのだから、荷主や元請けのなかには戦々恐々としているところもあるだろう。

これまでもIT化などでトラック荷役の予約システムを効率化し、荷待ち時間を大幅に削減するなど、物流2024問題に対応していることをアピールしている荷主や倉庫も現れてきた。一部上場のメーカーなどは、トラック事業者に無理な注文をつけている企業などとレッテルを貼られてしまったら、ブランドイメージの毀損につながる。

この11月1日からは、トラック事業者だけでなく、倉庫側からも聞き取り調査などを行うことになり、トラックGメンと物流Gメンの2グループに分かれて調査することになる。

前述の是正勧告を受けた2社とは、王子製紙の王子グループに属する古紙リサイクル業の王子マテリアとヤマト運輸だ。王子マテリアは長時間の荷待ちを常態化しているとして、すでに令和4年に是正の要請を受けていたが、改善している実態がないとして今年1月に是正勧告を受けたのだ。

ヤマト運輸については、元請けとして下請け企業に長時間の荷待ちや付帯業務の強制、運賃の不当な据え置きや過積載の強要、そのほか無理な運送指示など、かなりの項目に渡って違反行為を行ない、これまで是正の要請を受けてきた。しかしやはり改善の様子が見られないことから、今年是正勧告を受けたのだ。

今後は罰則を強化することで、より実効性の高い制度になることを期待したい。そうすれば、運賃の改善も進み、トラックドライバーの待遇も向上していくことにつながるからだ。待遇が改善しないまま、労働時間だけ制限されていては、ドライバー不足はますます進むことになる。

トラックドライバーを稼げる職業に戻すことが、物流の健全化も実現し、ドライバー不足を解消させることにつながることに物流業界は気付いて欲しい。

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