日本のトラックメーカーは現在4社。いすゞ自動車を筆頭に、三菱ふそうトラック&バス、日野自動車、UDトラックスの4ブランドだ。
このうちUDトラックスは日産ディーゼルの伝統をもつが、いすゞの傘下となって将来的には国内でブランドを維持することが難しくなってくる見通しとなっている。だが、消滅しそうなブランドは、それだけではない。
そう、日野自動車もまた、将来的に存続が危ぶまれる企業と言えるのだ。それはなぜか。やはり昨今の不正問題が大きな理由となっている。
独自のエンジン技術により燃費性能や環境性能を誇っていたが、実はそのデータが操作されていたという事件は、トヨタ自動車の豊田章男会長からの信頼を失った。CJPTから一時は除名されて、日本の商用車ブランド連合から孤立する事態となってしまう。
現在は除名以降の取り組みが評価されてCJPTへの復帰は果たしたが、三菱ふそうと経営統合する話は進んでいる。いすゞと三菱ふそう、日野は、今や国内市場で3強と言われる存在だが、今後国内市場は縮小していくことが確実だ。
生き残りを図るのは、経営の効率化を図るしかない。そこで日野のパートナーとして出てくるのはいすゞかふそう、ということになる。しかし日野は元々いすゞの日野工場が独立したもの。
元サヤに収まるということも無きにしもあらずという感じだが、トヨタがいすゞと業務提携しているのは日野にとって頭上を飛び越えて蔑ろにされた感が無くもない。つまり日野といすゞはライバルであり犬猿の仲だから、トヨタがいすゞと直接提携したのだ、という図式が浮かんでくる。
その時点で日野といすゞの合併という構図はないのが理解できる。そうなると日野は三菱ふそうと繋がるしか残された道はないのだ。トヨタが主導して、そういう道筋をつけたと見ることもできる。
しかし三菱ふそうは、いまやダイムラートラックの一員だ。かつては三菱自動車の一部であったが、三菱自動車から独立し、ダイムラートラックに買収されて現在の姿がある。ダイムラートラックアジアとして、アジア諸国で物流や農業、土木を支える信頼のブランドだ。
その一方でグループ内で合理化を進め、パワーユニットなどは共通化が図られている。環境性能と動力性能を両立させなければならないトラックのパワーユニットは開発リソースがふんだんに求められるから、共通化は必然的に選択される手段だ。
そうなってくると、これから経営統合を進める日野と三菱ふそうも、いずれは部品の共通化やOEMなどが実施されていくことになるだろう。そうなった時、日野というブランドは残っていけるのだろうか。
しかし経営統合や合併が御破算になる可能性もゼロではない。トヨタがグループ内に商用車メーカーは必要だと思い直せば、元サヤに収まることだってあり得るのだ。
しかし国内市場は今後減少こそすれ、増加に転じる可能性は低い。はたらくクルマは今後も必要だが、どこまで投資して開発を続けるのか。日野の行く末を今後も見守っていきたい。