これまで物流関係の展示会を取材して、AGVによる在庫の入出庫管理の無人化や、梱包から出荷までを自動化したデモは様々な搬送ロボットメーカーが展示していた。
しかしそれらは倉庫内における搬送作業の一部であり、トラックへの荷役やバースと倉庫間の移動、倉庫内での在庫管理など、倉庫内の搬送だけでも自動化するためのソリューションという印象だった。
国際物流総合展2024ではトヨタL&Fや三菱がトラックへの積み下ろしを自動運転フォークリフトで行なってみせたが、これは事前に発表されていた内容だったので、予想どおりの内容だった。
ところが日建リースがデモ展示したのは、倉庫のラックからの入出庫からバースへの搬送、トラックへの積み下ろしまでの一連の作業を完全に無人で自動化していたのだ。まるで近未来の物流を見ているようで、とても興味深かったのである。
ロジスティックサービスを展開する企業では、こうした倉庫での搬送を自動化した模型などをジオラマとして展示することも多いが、それらはどこか絵空事のように思えてしまい、現実のソリューションとは感じられない印象を持ってしまうのだ。
そんななか、日建リースのデモを見た時には、ちょっとした衝撃を受けた。ダンボール箱をラックからピックアップしてパレットに載せると、それを自動運転フォークリフトがパレットごと持ち上げて、トラックへと運び、荷台に載せる。
実際にはフォークリフトはトラックに載っているパレットを移動させるだけで、倉庫側のパレットを運ぶ訳ではなかったが、その動きからは倉庫からトラックまでを完全無人化できるシステムであることが想像できた。
自動運転フォークリフトも後輪が後端中央に寄っている特殊なレイアウトで、車輪は90度回転するので真横への移動も可能という、電動の自動運転ならではの動きの面白さを見せてもくれた。
倉庫内ラックから出荷された商品は、そのままコンベアによって倉庫の出口まで運ばれる。あるいはコンテナに入った小さな商品をピックアップして1つのダンボールに納め、テープで封をしてコンベアで出口へと送り出す。こうした商品の出荷システムと組み合わせることで、倉庫内の無人化は現実的な手段になってきた。
これを自動運転フォークでトラック荷役まで実行させるようにシステム化すれば、トラックドライバーがバースなどの荷役場にトラックを着けて、アオリやウイング、リアドアなどを開いて待っているだけで、フォークリフトが自動的に積み下ろしをやってくれる。そんな近未来の倉庫が、すぐそこまでやってきていることを実感させられたのである。
手積み手降ろしなんてやっている荷役場は、もうすぐ時代から取り残される。そんな辛い現場はトラックドライバーが寄り付かなくなる、なんて状況も考えられなくもない。
仕事は楽になり、トラックの安全性能も高まる。そして給料も高くなってこそ、トラックドライバーの成り手が増えるというものだ。