AKTIOと言えば、建設機械のレンタルをメインとする企業。建機や重機だけでなく、建設や道路工事などで使うほとんどの機械や道具までレンタル用品として用意している。
軽バンやライトバン、ワンボックスなどのクルマはもちろん、トラックもユニック付きからダンプ、パワーゲート付きなどまで揃えているし、現場用の自転車や電動アシスト自転車までレンタル可能なのだ。
そんなAKTIOが、ハイウェイテクノフェア2024で新商品をお披露目していた。それはマイクロバス。それもただのマイクロバスではなく、オフィス機能を備えたオフグリッドオフィスカーだった。
以前からAKTIOはキャブコンのキャンピングカー(トヨタのカムロードなど小型トラックをベースにしたキャンピングカー)をベースにした移動オフィスカーをレンタル商品として用意しているが、キャンピングカーは車内で立って歩ける高さはあるが、多人数で会議したり、打ち合わせしたり、いっぺんに何人もの人が休憩するような使い方には向いていない。
そこでキャンピングカーより広いマイクロバスをベースした移動オフィスカーを開発したのである。これはトイレやギャレー(流しと手洗いを兼ねたような小さな水栓設備)を装備し、長いソファと大画面モニターにより大人数でも会議や打ち合わせなどの会合に使うことができるようになっているのだ。
ちなみにオフグリッドとは、外部電源を必要としない自家発電装置を備えた独立した電力システムのこと。ソーラーパネルをルーフに備え、発電した電気を車体に内蔵したリン酸鉄リチウムバッテリーに貯めて、車内の電源として利用できるようになっているのだ。
こうすることで災害時にも事務所機能が確保できるようになっている。このところ大規模災害が頻発していることから、万が一の備えとより充実したラインナップのために開発したそうだ。
気候変動によって、建築の現場では労働環境の悪化が問題になっている。空調服や水冷服などで対応しているが、空調服はなかなかファンの音が煩くてストレスになるし、水冷服も猛暑下ではこまめな氷の追加などが必要になる。
こうしたオフィスカーが現場にあれば、休憩時にはエアコンの効いた車内でゆっくり休めるし、氷も提供できる。冷蔵庫を備えているのは、冷たい飲み物をいつでも提供できるだけでなく、水冷服の氷を作るためでもあるのだ。
またオフィスカーとしてだけでなく、災害時には避難所やスマホの充電拠点など、被災者支援のためのクルマとしても使えることを想定しているそうだ。
実際には電源がある地域での使用も想定して、エアコンなど電力消費が大きい製品を使うときには外部から電力を引くこともできるようになっている。もちろん災害時や電源がないエリアで使用する際には、外部へ給電もできるようになっている。
乗車定員を10人にすることで、普通免許でも運転できるようにしている点もポイントだ。マイクロバスという従来なら「人を運ぶだけのクルマ」が、新たな価値を与えられている。
これを見るとトラックも、まだまだ無限の可能性を秘めている、と思えるのだ。