高速道路は制限速度が高いだけでなく、利用する車輌から通行料金を徴収する有料道路だ。それだけに道路の整備も一般道とはレベルが違い、路面の状態管理から落下物の撤去など、メンテナンスのレベルも頻度も結構なものだ。
高速道路のメンテナンスには、工事に使う重機以外にも様々なトラックが使われる。車線規制などに使う三角コーンの設置と回収を無人で行なうロボコーンを開発、販売しているNEXCO西日本メンテナンス九州が、新型車輌をハイウェイテクノフェア2024に展示していた。
これは三角コーンと合わせて車線規制に用いられる矢印表示板をやはり無人で設置、回収できるもので、その名も矢印板自動設置回収装置搭載型標識車、ロボアローだ。
従来、矢印表示板は積載するトラックのドライバーと荷台で表示板を積み下ろしする作業員、路面上で表示板を設置、回収する作業員の合計3名で設置回収の作業を行っていた。しかしロボアローを使えば、これらの作業がひとりで行なえる。
矢印表示板を設置回収するアームにはカメラが組み込まれていて、横方向にハンガー部分が動いて表示板の位置を追従して自動的に設置回収できるようになっている。設置時は前進しているだけで一定間隔に表示板を設置してくれるし、回収時もドライバーは後方の安全を確認しながら矢印表示板の位置に大体合わせるだけで回収できるのだ。
このロボアローのメリットは作業員が不要というだけではない。この矢印表示板の設置と回収という作業は、実はとても危険な仕事なのだ。前述の落下物の回収も、走行中の車輌が途切れた瞬間に道路をダッシュで横断して回収し、戻ってこなければならないことはご存知だろう。
矢印板は車線を規制するために設置するので、設置や回収の作業は車線を絞り込むテーパー部という区間で行うことになる。工事区間で車線規制されているところに誤侵入したり追突する事故も後を絶たないが、それよりも車線規制の先端でドライバーが接近する機会が多いテーパー部の方が、さらに危険なのだ。
このロボアロー、令和元年に1号車が納入されて以来、NEXCO西日本だけでなく東日本にも導入されている。ロボコーンはすでに15年近い実績で100台以上が稼働しているが、ロボアローはやっと20台を超えたところ。
ちなみにロボアローは矢印板を回収した際に、車内で矢印板をくるりと180度回転させてから格納する。設置する際にも180度回転させてから取り出すのだ。
どうしてこんな仕組みにしてワザワザ反転させているのか説明員に尋ねたところ、格納している状態で後方からやってくる一般ドライバーに矢印が見えてしまうと、勘違いして焦って車線変更などをして危険な状態になりかねないことを想定して対策しているのだとか。
工事など車線規制が必要なときに危険なのは、道路作業員だけではない。当然のことながらドライバーの安全にも十二分に配慮しているのである。