
国際物流総合展の会場を歩いていたら、SONYのロゴを発見。ホンダとEVの開発を行うなど、自動車業界にも進出しているブランドだ。
しかし物流業界にSONYの名は聞いたことがなかった。ブースを訪ねてみると、そこにはアクションカムのような超小型のカメラが置かれていた。これはアクションカム? 説明員に尋ねると意外な答えが返ってきた。
「いいえ、弊社のイメージセンサーと画像認識AIのチップを組み合わせたエッジデバイスの一つです」と説明員。
エッジデバイスとはシステムの末端で動く装置のことだが、カメラにAIが組み込まれている、ということらしい。このAITRIOS(アイトリオス)というサービス、従来のカメラシステムと何が違って便利になるのだろうか。
「従来のカメラシステムはホスト側に画像データを送り、画像を解析して認識するのに対し、このカメラで画像認識まで済ませて必要なデータだけを転送します。それによりデータ量が格段に減り、ネットワークの負荷が減ってストレージの負担も減り転送時間が早くなるんです」。
なるほど。これを倉庫のバース管理に利用しようというのが、ITベンチャーのavanade。トラックが倉庫に到着し、ゲートから入った時点でそこに設置されたエッジシステムがトラックを認識、ナンバープレートを読み込んでテキストデータに変換し車輌と時刻をクラウドサービスを通じて倉庫管理者のPCに伝える。



指定された番号のバースにドライバーがトラックを停めて荷役を行い、出庫するまでの時刻も管理。これによって効率的なバース管理が行えてトラックの荷待ち時間を短縮することにつながるのだと言う。
ナンバープレートを読み込んで、倉庫管理者がPCに入力しドライバーにバース番号を伝えるといった作業が自動的に行える。手間が要らなくなるだけでなく、管理者による入力ミスなどの問題もなくなる。
入力ミスを些細な問題だと思う人もいるかもしれない。しかしナンバープレートの文字を1つ打ち間違えただけで、別のトラックとしてPCは認識してしまう。後でデータを利用して効率化を図ろうと思った時に、こうした偽データがあると排除するだけで手間となる。
さらにデータを蓄積してより効率の良い倉庫運営ができるようになって、トラックドライバーの負担も減ることになるらしい。すでにトラック予約受付サービスMOVO Berthとして実績を上げているそうだ。
さらにバース内での荷役作業をモニタリングすることで、荷物の積載率も把握することができるらしい。スピーディに荷役作業を終えたい現場の人間にとって、積載率などトラック庫内の状況を報告するのは結構な手間だ。
それを自動化して、データを集めることで積載率やルートの適正化につながれば、配車台数を減らせたり、残業時間の削減も可能になりそうだ。他にもトラック事業者が利用してトラックの入出庫を管理するなど、いろいろ応用できそうである。
今後、こうしたサービスは増えていくだろうが、イメージセンサーを作るSONYが直接乗り出したことは、物流業界の活性化にもつながるだろう。

