JR貨物が貨物列車の輪軸取り付けに際しデータ改ざんなどの不正を行っていたことは、物流業界に衝撃を与える結果となった。モーダルシフトを推進していこうとしている矢先の発覚だけに、物流業界にとっては冷や水を浴びせられた格好だ。
これによって物流が大混乱になるのでは、という予測もあった。しかしJR貨物は迅速に対応して、点検によって不正や問題のあった車輌を列車の編成から外すことで、2日もかからずに貨物列車の運行を再開させている。
それでもヤマト運輸や佐川急便など物流大手によれば、今回のJR貨物の不正発覚による緊急点検のためすべての貨物列車の運行を止めたことにより、1日以上荷物の到着が遅れたらしい。それくらいで済んで良かったという見方もできるが、鉄道貨物の重要さが再認識された格好だ。
そんなJR貨物が国際物流総合展2024にしれっと出展していた。出展の申し込みやブースの準備はそうとう前から進められていたから、今更出展は止められないということだろう。
しかし、ブースを見回しても今回の不正に関する謝罪のようなパネルなどは見当たらない。問題を起こした企業は出展取りやめにするところも少なくないから、やはり未だに国鉄感覚が抜けていないという印象を受けた。
さて、そんなJR貨物のブースだが、エコレールマークという名前をアピールしている展示が目についた。エコレールとは何ぞやと思う方もおられるだろう。
これは鉄道貨物を利用している商品に提示できるお菓子などの食品以外にも日用品など直接消費者が利用する商品に、このエコレールマークが付けられ始めているのだ。
これは単に貨物鉄道を利用しているだけでなく、一定の割合で貨物鉄道輸送を利用することなど、一定のルールがある。ともかく貨物鉄道輸送を通じて地球環境の改善に貢献する企業や商品を認定するマークなのである。
もちろん鉄道貨物が本来得意とする建築資材や紙パルプ、石油に鉄鋼、化学製品(原料)などの企業もエコレールマークを取得している。
トラックに比べCO2の排出量が少ない輸送を実現できるだけでなく、ドライバー不足に悩むトラック輸送をカバーできる中間輸送としても貨物鉄道輸送は非常に重要なキーモビリティだ。
鉄道輸送は年々縮小傾向にあり、赤字路線の廃線が続いている。貨物鉄道輸送はエネルギー効率に優れるものの、中間輸送としてはトレーラーなどに比べ積み替えの効率が悪い。
これは高速道路のICと貨物輸送駅を近付けることで、こうした中間輸送の効率は大きく改善できそうだ。JR貨物もこうした課題を認識しており、2024年問題に対する解決策として貨物鉄道輸送を増やしていけるよう様々な対応策を検討している。
モーダルシフトやモーダルコンビネーションに関する目標や課題などについては、また改めて解説することにしたい。