【物流2024問題】トラックよりも稼げるって本当? タクシーへの転職組続々、未来の需要は?

タクシー イメージ画像

コロナ禍の解消やインバウンド消費などによりタクシーの需要が戻ってきている、そんな昨今、配車アプリの普及による乗客獲得率が高く、流しのタクシーはなかなか捕まえられないという声もよく聞く。

都市部ではタクシードライバーの収入がコロナ禍と比べ、相当に改善されている。月収50万円は当たり前、稼ぐドライバーなら100万円に届くこともあると言われている。これは残業時間が規制されたトラックドライバーにとってはなんとも気になる話だろう。

運転で稼ぐという視点でみればトラックもタクシーも同じ。タクシーは旅客運送でお客を乗せているぶん神経を使うし、カスハラなどトラックにはないストレスもあるようだが、それでも稼げないよりはいい、と思っている人も多いのではないだろうか。

タクシーの場合、基本給が少なく歩合給が多い給与体系が一般的だ。そのため以前は、日中は駅前や病院などで客待ちをするより、街を流して客を捕まえる「流し」の比率が高かった。その方が売上増が見込めたためで、それゆえ以前はタクシーの1日の走行距離は相当に長かったわけだ。

タクシー乗り場イメージ

しかし最近は減少気味だ。いまや配車アプリによってタクシー業界が掌握されている状態と言ってもいい。地方では小規模なタクシー会社がかろうじて経営を存続できており、駅前に数台が客待ちをしている状態だ。ちなみに地方のタクシードライバーのリアルな声では、月に19日の出勤で残業も目一杯(1日12時間勤務)やって、やっと総支給額で45万円という声もある。これも最近のタクシー不足で良くなった状態だとか。

また電話による配車サービスを受託する企業も登場して、何社もの電話応対を兼任することで、配車業務の効率化を実現しているところも出てきた。

トラックドライバーは運転&肉体労働(付帯作業)という見方ができるが、タクシードライバーは運転&接客業だという意見もある。また日本版ライドシェアという「タクシー会社が運営元となる一般ドライバーによる旅客運送サービス」が始まっている。これは二種免許を必要とせず、自分のクルマを使って、乗客を運ぶサービスだ。

タクシー業界はタクシー不足の時間帯だけ協力してもらい、売上の半分をタクシー会社が手数料として徴収する。そうすることでタクシーと同程度の料金設定とすることができ、ライドシェアを受け入れた。しかしこれは利用客やライドシェアドライバーにはメリットはほとんどない環境だ。そう、タクシー業界は現状では、ライドシェアを普及させる気はサラサラないのである。ライドシェアの完全解禁を狙う行政とは裏では対立しているのだ。

タクシードライバーにとって、ライバルはライドシェアだけではない。中国では一部地域ではあるが、すでに無人タクシーが営業を開始している。しかも自動運転用に整備された道路だけを走るのではなく、従来からある道路で路上駐車などがあってすれ違いが複雑な操作を要求されるような、ゴチャゴチャした状況にも対応できるというのだから、なかなか注目に値する事実だ。

自動運転タクシー イメージ画像

翻って日本ではなによりも安全が重視されるから、幾度も実証実験の段階を経てようやく導入される、ということが多い。対して中国や米国では「革新的な技術には犠牲はつきものという感覚があるのか、完成度や信頼性が完璧ではない状態でも、とりあえず導入して試行錯誤しながら完成度を高める方法を採ることが多い。

どちらにせよタクシードライバーの未来は明るくない。現在は以前よりは多く稼げる状態になったかもしれないが、そんな美味しい状態がいつまでも続くだろうか。かつてのバブル期のように好景気に沸いた状態ならまだしも、タクシー業界だけが儲かるような状況が長く続くワケがない。しかもタクシードライバーは稼げても、タクシー事業者は収益性が悪化していけば、淘汰の波が襲いかかる。

2、3年だけでもタクシーで稼ぎたいというなら、東名阪の三都市でタクシードライバーを経験するのも悪くないかもしれないが、それ以上長く勤めるのはリスクが増えるだけ、となりそうだ。

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