【トラック情報2024】トラックに使われるリトレッドタイヤってなに?

ミシュラン リトレッドタイヤ

タイヤは主にゴムでできており、単に黒くて丸い物体である。興味のある人なら、メーカー・ブランド・サイズなどの違いが一目で分かるのかもしれないが、そうでなければどれを見ても大して変わらないと感じるのではないだろうか。クルマのパーツのなかでも有数の重要部品なのだが、目立つ場所についていながら注目度はあまり高くないのかもしれない。

そんな地味な位置づけにあるタイヤだが、そのなかには高度な技術がぎっしりと詰まっているのだ。重量のあるクルマの、走る・停まる・曲がるなどといった動作を受け止めるだけではなく、乗り心地も維持しなければならないのだから当然のことだといえよう。とくにトラックやバスのタイヤは、乗用車に比べて使用条件が過酷になるにもかかわらず、経済性も求められる。タイヤ自身がより頑丈な構造になっているのは、当たり前のことなのだ。

一般に、タイヤの寿命は残溝で判断されるが、それは道路運送車両法の保安基準で定められているからだ。残溝が規定を下回れば、車検は通らない。この溝がある部分はトレッドと呼ばれ、地面と接していることから使用が進めば摩耗する。タイヤの他の部分も経年劣化はするものの、縁石に当たるなどといった外的要因でもない限り、トレッドより早く寿命を迎える可能性は低い。言い換えれば、トレッドが摩耗しても他の部分は健在だということだ。

そこで、トレッドが摩耗して寿命を迎えたタイヤに、もう一度トレッドを再生することで使えるようにしたのが、リトレッドタイヤ (更生タイヤ・再生タイヤ・リキャップタイヤ)と呼ばれるものである。以前は新品よりも安いという経済性に重きが置かれていたが、現在は環境に優しいという側面も重要視されている。新品は都度生産されるわけだが、リトレッドタイヤはトレッドを新たに作る。これにより、製造時に発生する原材料の消費や排出CO2などの削減につながっているのだ。

リトレッドタイヤ 張り替え作業風景

トレッドを張り替えるといったことは、ずいぶん以前から行われていたという。町のトラックタイヤのショップなどでは、独自の技術で対応していたという話も多い。しかし、タイヤには大きな負荷がかかるので、ベースとなる台タイヤの状態や、トレッドを張り付ける技術は一定のレベルになければ安全性の担保が難しいのだ。

リトレッドタイヤ 張り替え作業風景

現在では、大手タイヤメーカーの関連会社などが会員になっている「更生タイヤ全国協議会(JRA)」が、リトレッドタイヤの普及や安全性に関する指針を示すなどしている。作業もタイヤメーカーの関連会社などが、請け負って行うのが主流となっているようだ。リトレッドの主な方法は、

  • プレキュア方式
    トレッドパターンが刻まれた板状のゴム材を台タイヤに貼り付け、外側をゴム製のバッグで覆って加熱して一体化させる。
  • リモールド方式
    平たいゴム材を台タイヤに貼り付けたあと、トレッドパターンが刻まれた金型に入れて加熱して成型・一体化する。

の2パターンだが、コスト的には金型の少ないプレキュア方式が有利である。こうして管理されているリトレッドタイヤは品質的にも信頼性が高く、新品よりも購入コストを下げることができる。乗用車は乗り心地を重視したタイヤが多いために、台タイヤの剛性が確保できないのでリトレッドが難しいとされるがゆえに、今後はトラック・バスタイヤを中心に普及していくことになるのだろう。

リトレッドタイヤ 張り替え作業風景
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