【トラックの不思議2024】道路を走ってもいいトラックには限度があるって知ってた?

最大重量は20トン、最大高さは3.8m、車幅は2.5m、最大長さは12m(トレーラーは16.5m)というのが一般的な制限で、大型貨物の通行が禁止されている区域を除いて、ほぼすべての公道を走ることができるトラックの大きさ重さの限度だ。これ以上は申請して道路の通行許可を得る必要がある。

ダブル連結トラックは、それまで21mまでに制限されていたフルトレーラーの長さを25mまで特別に認めてもらったもので、高速道路はほぼ通行できるくらい通行範囲が広げられている。

しかし大きな建設機械や建築物のモジュールや部品(風力発電のプロペラや新幹線などは有名だ)は、とてもこのサイズで収まりきれない。

そこで道路通行許可を取得して、他の車両の邪魔になりにくい夜間などに運んでいるのである。通行許可にもレベルがあり、徐行を必要としないものから、徐行や誘導車を必要とするものなど、トラックの大きさ重さによって規制が変わってくる。

しかも道路通行許可は単に申請すればいい、というものではない。その走行ルートも予め定めて申請する必要があるなど、かなり面倒(慣れている人にとっては普通?)な手続きが必要だ。平成16年からはオンラインで申請ができるようになったが、トラックの知識と道路の知識、さらに複雑な申請に関する知識が必要となるだけに、その道のプロが手がけている。

誘導車がいるのかいないのかでは状況は全く変わってくる。深夜、黄色い回転灯をつけながら乗用車が特大トレーラーの前後を挟んで走行していることを見かけたことはないだろうか。新幹線などの長いトレーラーはさらに誘導員が交差点で安全を確認しながら運搬車輌を誘導していることもある。これは通常の走行を考えれば相当に非効率で時間が掛かる輸送だが、安全が最優先される公道では仕方ないと思える部分だ。

現在は最終的な重量の制限は撤廃されている(分解が困難な機械など特例扱いで運べる)ようだが、かつては36トンまでとされていたため、物理的に運べる重さに限度があった。しかし不思議なもので、世の中にはそうした制限を超えた巨大な機械が工場に備え付けられているケースもある。

建造物などは巨大な部品の状態で運び、現地で組み立てることが多いので何も不思議なことはないが、巨大な機械は現地で組み立たてられるものではない場合も多い。日本の製造業を支えるためには、法規制を超えた存在もあったのだ。

ちなみに公道でなければもっと大きなトラックも存在する。それは種子島でH2/H3ロケットの発射台を運ぶ運搬台車だ。最新の移動発射台運搬車(ドーリー)は14軸56輪のタイヤを備え、それは空気が入っていないソリッドなウレタンゴム製だ。1400トンを超える重量を支える能力をもつのだから、それも当然と言えば当然である。

これは時速2~3km程度で走行し、すべての車輪が操舵される。運転手は乗っているがコース上に埋め込まれた磁石を磁力センサーで検知しながら自動的に走行するのだ。

効率の良い輸送のために大型トラックの比率が増えたことと、道路整備の財源が減らされ道路が傷んだ状態が長くなっていること、気候変動により外気温や路面温度が上昇し、路面の傷みが激しくなった感がある。短時間に補修できる材料や技術も開発されているのだから、道路管理者には迅速な対応を望みたいところだ。

ページトップに戻る