【物流2024問題】自動運転フォークリフトによるトラックへの積み込みが実現。フォークマンの仕事が無くなる? 省人力化以外にも利点が?

 フォークリフトは、比較的早い時期から自動運転を実現してきた。それは倉庫内という限られた環境では状況の把握がしやすく、想定外の事態が起こりにくいからだ。

 たくさんのモビリティが行き交う公道では、自車の動きに加えて前後を走るクルマや対向車、オートバイに自転車などが走り回り、交差点では信号を守らないドライバーや自転車、歩行者にも注意して進行する必要がある。左側には路上駐車の車輌が出現して車線変更を余儀なくされることもあれば、道路工事によって迂回させられることもある。交通事故などに遭遇すれば緊急車輌の到着や通過を優先しなければならず、周囲のクルマも様々な判断で動くので、それを認知、推測して進路を譲る必要があることも多い。

 そこへいくとレイアウトが決まっている倉庫内では、障害物や他のフォーク、作業員などをセンシングして避けるだけで、目的の地点へと辿り着けやすい。商品を在庫しておく棚に位置情報を記録したQRコードを貼り付けておくだけで在庫管理やピックアップ作業ができるのだ。


Amazonの倉庫でお掃除ロボットのようなピザボックス型のロボットが、商品が収まる積み上げた棚ごと持ち上げて、ピッキングする作業員のところまで運ぶのを報道番組などで見たことがあるだろう。そうした倉庫内で働くロボットから、さらに大きな商品群をパレットごと運べる自動運転フォークリフトが活躍する段階へと自動運転のレベルがステップアップしている。自動運転フォークが倉庫内で稼働しているのは、もはや珍しいことではなくなりつつある。

 そしていよいよトラックへの積み込み、積み下ろし作業も自動化が実現したのだ。花王は昨年、次世代型倉庫を完成させ、豊田自動織機と倉庫内での自動運転フォークを実現していたが、7月からトラック荷役自動化を開始、10月からは本格稼働させると発表している。

 続く9月10日には、コカ・コーラボトラーズジャパンの白州工場倉庫にて4本フォークの自動運転フォークリフトによるトラック荷役の自動化が始まった。こちらも実証実験レベルだが、12月には実稼働を目指しているという。実はそれに先駆けて、三菱重工と日産フォークリフトの流れを汲む三菱ロジネクストが今年3月からトラック荷役への自動運転フォークリフト対応を実現している。

 自動運転フォークでも大きく分けて2種類ある。ひとつは有人による手動走行と切り替えて使える有人/無人兼用型で、もう一つは作業員が乗るスペースのない完全無人型の自動運転フォークだ。ベテランのフォークマンと比べると、自動運転フォークの動きはゆっくりとしたものだ。

 それはまだ実績の少ない自動運転が安全性を担保するためには当然のことで、まだ運ぶ荷物の内容によって動作を変えることもできないこともある。しかし充電の必要こそあるが、倉庫内では24時間稼働可能な自動運転フォークの運搬能力は相当なものだ。導入コストは安くはないが、人手不足の解消だけでなく数年で回収できるからトータルコストは割安にもなる。

 倉庫内での作業と比べ、駐車位置がその都度微妙に変わるトラックへの荷役では、自動運転技術のレベルが数段上がる。これにより自動運転トラックの実現もまた近づくことになるのである。

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