
トラックには特定の作業をするための機械が組み付けられた特殊な作業車も数多く存在する。高所作業車は、そんな特殊な作業車のなかでも比較的目にする機会が多いトラックだ。電柱への作業や信号機の整備(最近はLED式への交換ばかり?)、ビルの低層階の補修や清掃、トンネル内のメンテナンスなど様々な用途で活躍している。
定義としては2m以上に作業用バスケットが持ち上げられ、昇降部分と走行部分に機能が分かれていて、自走できる機械が高所作業車であるらしい。したがってトラックの荷台部分に昇降装置が搭載されたトラック型以外にも自走型には色々な種類が存在する。
高く上がって作業員が乗れる部分は小さいものはバスケット、大型のものはデッキと呼ばれる。バスケットはふたりくらい、デッキは大きさや数によって10人以上で作業できるものもある。
高所作業車(ハイライダーとも呼ばれる)の公道での運転は、その大きさに応じたクルマの免許があればいい。3.5トンまでのトラックなら、普通免許で運転することはできる。しかしバスケットやデッキを持ち上げるブームやアームを操作するのは運転免許とは別の資格が必要だ。
これは免許ではなく講習を受けることによって与えられるから、取得するのはそれほど難しいことではない。実際には高所作業車でも、作業の目的や作業方法によって色々な種類がある。
以前ならば高所作業車はバスケットやデッキで作業する場合、ブームを延ばした状態なので停車してアウトリガーを出し、車体を安定させる必要があった。しかしトンネル内壁のクラック点検など、長い距離を連続して点検するような作業の場合、ブームの届く範囲で作業したらまたクルマを移動させて、固定してから点検作業では効率が悪すぎる。
そこで最近ではアウトリガーの底部に車輪をつけて、これを油圧で駆動することにより低速で移動しながら点検作業が行えるように工夫したのだ。これによって作業効率は飛躍的に向上できることが容易に想像できる。そうかと思えばデッキをいくつも備えて異なる高さの内壁部分を同時に点検や補修作業できる高所作業車も用意されている。


高速道路の高架部分では橋桁の裏側を点検できるよう、道路脇からオーバーハングしてバスケットを吊り下げられるような特殊な作業車両もある。これは高所ではなく、自車より下にぶら下がるのだが、構造としては高所作業車と同じ部類のトラックだ。
トンネル内壁の点検には、作業員が目視や打音検査などを行なうが、それだけが点検の方法ではない。レーザーや高速カメラを使って、走行しながら撮影してコンピュータでクラックの有無を判断するような点検車両も開発されている。


こうした特別な作業車両が続々と開発されている背景には、トンネルの老朽化による落盤事故など、深刻な災害が起こっていることも忘れてはならない。高速道路のトンネル区間などを走行する際には、緊張感を一定レベル保ちつつ、安全に注意して走り抜けることをお勧めしておこう。