大型トラックのドライバーになりたい。でも長距離便はなかなか家に帰れなくて大変そう。そう思って、トラックドライバーへの転職を迷っている人も少なくないのではなかろうか。
確かに長距離便は夜通し走っているイメージで、一度出発したら高速道路をひた走り、休憩を挟みながら1〜2日間はかけて目的地を目指すものだ。つまり高速道路上で一昼夜は過ごすことになるのが当たり前の職業なのである。
東京ー大阪間など半日で辿り着いてしまうようなところなら翌日には帰ってこられるが、単に往復するのではなく、荷下ろし後は再び別の荷物を積み込んで、さらに別のところへ運ぶケースも少なくない。空荷で帰るのでは収益が上がらないから、そのように巡回するように荷物を運ぶのだ。
家に帰れない=夜通しの仕事というイメージだから夜中の仕事という印象になるが、実際には昼夜問わず休憩を挟みながら運転している仕事なのだ。しかし朝、もしくは午前中に荷受け場所まで届ける仕事が多いのも事実である。
輸送時間を考えれば、夕方に荷受けしても、その荷が活用されるのは翌日以降になってしまうのは当然だ。荷受け側が24時間体制で受け入れてもらえるところ(倉庫などでは可能だ)でなければ、深夜は走っているか休憩しているかのどちらかになるからだ。運ぶ距離やルートによって休憩のペースが決まり、最終的には荷受け側の受け入れ態勢で荷下ろしの時間が決まる。
加えて現在、ドライバーは11時間勤務した後は9時間の休憩を取らなければならない。これも停める場所はSA/PAが便利で効率的だ。そのあたりを調整して、荷下ろし場所と時刻までの調整をしながら走行するのである。
しかしこれからのトラック輸送では長距離便は減っていくことになりそうだ。というのも物流2024問題を受けて、今後のトラックドライバー不足に対応するためにも、中継輸送の活用が重要な鍵となる。
大手のトラック業者が現在進めているのは、中継地点でトラックを交換し、それぞれが元来た方向へと走らせる、というもの。これを東京ー大阪間や九州ー大阪間で行なうことで日帰りでの運行が可能になる。
これはたくさんのトラックを抱える大手だから使える手段だと思われるかもしれないが、今後は中小トラック事業者の間でもトラックをマッチングさせるサービスなどで実現できるようになるかもしれない。燃料代など今後も上昇していくことが予想されるだけに、効率化を追求していくのも不可欠だ。
共同輸送や小口配送なども組み合わされて、中継地点で積み下ろしなどをするなど複雑な配送が導入される可能性もある。これはドライバーの仕事を煩雑にさせるかもしれない。しかしそれが実現すれば、物流はよりシステマチックになって、効率化されるのは間違いない。
電子タグやGPSによって荷物の動きが完全にトラッキングできるようになった今、物流はあらゆる要素を上手く組み合わせて運ぶことが要求される時代になってきたのだ。